がんと補完代替療法 民間療法などは具体的な資料を持って担当医に相談しましょう

四国がんセンター

呼吸器外科

愛媛県松山市南梅本町甲

補完代替療法(代替療法)とは?

がん治療の軸は、手術、放射線、薬物療法の3本柱とされています。ところが、がん治療では、治療開始後の療養生活が長いことや、病状によっては治療そのものが難しい場合があることから、標準的にがんに対して行われる治療のほかに、いわゆる〝民間療法〞や〝代替療法〞と呼ばれる、補完代替療法(代替療法)に関心を持つ患者さんや家族が少なくありません。通常の病院では実践していない医療のことで、世界の伝統医学や保険適用外の治療法のほか、広い意味では、健康食品やサプリメント、心理療法、鍼灸(しんきゅう)、マッサージ療法なども含まれます。

注意しないといけないこと

代替療法には注意すべき3つのことがあります。①正しい情報を集める、②有効性と安全性を確認する、③担当医に相談する、です。

①の正しい情報とは何でしょう。代替療法で効果があったという人の個別の情報ではなく、「特定の代替療法について全体で何人の人が行って、どのくらいの人に最終的に効果があった」という情報がありますか?良くならなかった人を数えずに宣伝する情報には要注意です。

②有効性の判断では、ほかの治療との関係も検討する必要があります。代替療法で効果があったと報告されたものの多くが、標準的ながん治療と同時進行か、治療後に始めた代替療法の効果として判断されている場合があります。これでは標準的な治療で効果があったのか、代替療法で効果があったのかが分かりません。また、安全性についても科学的に検証されているか確認する必要があります。

③現時点で、がんの生存率を高めたり、進行を遅らせる効果が科学的に証明された代替療法はありません。がん治療に伴う不快な状況を緩和するのに役立つ可能性のある代替療法がいくつか挙げられていますが、これもまだ充分には証明されていません。「あのサプリや新聞広告にある薬は効くんでしょうか?」と、まれに外来で尋ねられますが、具体的な商品名や含まれる成分が分からなければ、答えようがありません。

当院はがん専門病院ですので、代替療法を利用された患者さんに対しての経験を持った医師がたくさんいます。人に勧められて、あるいは広告などを見て、これはと思う民間療法やサプリメントなどがあれば、具体的な資料を持って担当医に相談してみましょう。

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更新:2024.01.25