チーム医療に生かす総合的心身医学療法
中部ろうさい病院
心療内科
愛知県名古屋市港区港明
心療内科とは
心療内科とは、心身症(しんしんしょう)(症状の発生・増悪に心因が影響している身体疾患)をはじめとする、心理的影響の強いストレス病を診断し治療する診療科です。慢性の身体病(自覚症状に見合う身体的異常や検査結果がないにもかかわらず多くの身体的症状が持続する)に伴うストレスを感じている方の受診もお勧めしています。心身症やストレス病は、内科領域だけでなく、整形外科・産婦人科から歯科・口腔(こうくう)外科領域まで多方面に及びます。
チームで行うさまざまな治療法
治療は、向精神薬(こうせいしんやく)(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬など)による薬物療法を原則としています。約半数の患者さんは薬での治療によって症状が軽くなり、治療の必要性がなくなります。しかし、より深い心理的アプローチが必要と思われる患者さんに対しては、さまざまな心身医学療法も併用します(図)。
代表的な心身医学療法は、心療内科治療の3本柱と呼ばれる交流分析、自律訓練法、認知行動療法です。交流分析は、自らの行動パターンを知り、人間関係の改善を図る心理療法です。外来診療や個別カウンセリングで最もよく使われます。自律訓練法は、不安や緊張を和らげ、解消していくリラクセーション技法で、主に集団療法として向精神薬を止めることを目標に実施しています。当科では1,600人に集団自律訓練法を施行してきました。認知行動療法は、環境に対する反応の仕方(認知・行動・習慣)を変容させることで、ストレスを減らしていく心理療法です。患者さんが持つ自助力を回復させたり、育てたりすること(セルフコントロール)が最大の目標です。
当科ではさまざまな資格(公認心理師、産業カウンセラー、臨床心理士など)を持つ心理士と役割を分担し、チーム医療を実践しています。心理士は、詳細な生育歴の聴取や精神症状の重篤さの把握、心と体の相互関係への理解の促進など、心身医療全般にかかわり医師の役割を補完する重要な役割を担っています。
更新:2022.03.23