抗不安薬やめてみませんか!~向精神薬の減量・離脱のプログラム~
中部ろうさい病院
薬剤部 心療内科
愛知県名古屋市港区港明
薬に依存していませんか?
「抗不安薬」って、聞いたことがありますよね。
不安なときや眠れないときに処方され、効果抜群で副作用もほとんどありません。諸外国に比べて国内では幅広く処方されており、身近な薬だといえます。そんな抗不安薬にも悪い点があります。それは「薬なしではいられなくなる」こと、つまり依存です。
依存には「身体的依存(薬がないとイライラ、ソワソワなどの症状が出る)」と「精神的依存(これがないと不安、これがあるから安心)」の2種類があり、どちらも大きな問題となります。
そのため、当科では症状に応じて抗不安薬を減らすことや、やめること(中止)を目標にしています。
抗不安薬はやめられます
では、どのように行っていくのでしょうか。いきなり飲むのをやめる?いいえ、それは危険を伴います。
抗不安薬をずっと飲んでいる患者さんにとっては、薬を使用する状態が「普通」です。そのため、急に飲むのをやめたり、大幅に量を減らしたりすると「普通ではない」状態になります。場合によっては、離脱症状(不安、しびれ、頭痛などさまざま)が起こることもあります。それを防ぐため、患者さんに応じたスピードでゆっくり減らしていきます。
例えば、効果が長く続く薬では、内服頻度(ひんど)を「毎日→1日おき→2日おき」と延ばしていきます。効果の強い薬を飲んでいる場合では、1日の内服回数を「3回→2回」と減らしていき、次に効果の弱い薬へ変更して徐々に1日に飲む回数を減らしていきます。このほかにも、漢方薬の併用や自律訓練法(自分自身でリラックスする技法)を習得し、抗不安薬を減らしていく方法もあります。
これらのプログラムを始める際には、薬剤師がしっかり説明し、その後の経過は医師をはじめとする医療スタッフが確認していきますので安心してください。
抗不安薬を減らしていき、最終的にやめることは、患者さんと私たち医療スタッフの共同作業です。私たちとともに力をあわせて行っていきましょう。
更新:2024.10.04