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ウイルス性肝炎

概要

ウイルス性肝炎とは、肝臓が肝炎ウイルスに感染して起こった炎症をいいます。肝臓が炎症を起こす原因は、アルコールの過剰摂取、中性脂肪の蓄積、自己免疫の異常がありますが、ウイルス感染はもっとも多い原因となっています。

A型、B型、C型、D型、E型などといった種類のウイルスがありますが、まだ特定されていないウイルスも存在します。

日本で圧倒的は、B型とC型が圧倒的に多く、A型、B型、E型は、ワクチン接種による予防が可能です。

表
表:ウイルス性肝炎の種類とその特徴

原因

どのような経緯で感染するかは、ウイルスによって違います。

A型

糞便中に含まれており、A型肝炎ウイルスに感染した食べ物、水、氷を口から摂取することで感染します。海外旅行での飲食、カキなどの魚介類の生食が代表的な例で、衛生環境の悪い開発途上国などで流行が確認されています。

急性肝炎を起こしますが、慢性化や劇症化に至ることはほとんどなく、自然に治ります。

B型

感染している人の血液や体液などを介して感染します。輸血や注射針の使い回し、性交渉、入れ墨、出産などが感染経路となります。1986年に母子感染防止策がとられるようになってからは、出生後にワクチンを接種しており、新たな母子感染はほとんど起こっていません。感染力が強く、体液でも感染するため、近年、性交渉による感染が増加傾向にあります。

成人が感染すると、急性肝炎を起こし、数週間でピークを迎えて自然に治りますが、ごくまれに劇症肝炎を起こします。

3歳以下で感染した場合は、ウイルスを保持したまま肝機能は正常な状態が続き、次第に慢性肝炎へと移行し、一部の人が肝硬変、肝臓がん、肝不全へと進行するといわれています。

C型

感染している人の血液から感染します。B型肝炎ウイルスよりも感染力が弱いため、母子感染や性交渉による感染は少ないといわれています。かつては医療現場での感染がありましたが、現在では体制も整備され、輸血や採血などでは厳重なチェックが行われています。

D型

血液によって感染しますが、B型肝炎ウイルスが存在しなければ感染しないウイルスです。すでにB型肝炎ウイルスに感染して、慢性肝炎を発症している人にはリスクがあります。

E型

A型肝炎ウイルスと同様、糞便中に含まれるウイルスで、感染したものを口から摂取することで感染します。開発途上国での感染が多いといわれていますが、日本でも野生動物や豚の生肉から感染した事例が報告されています。

感染すると急性肝炎や劇症肝炎を起こし、A型肝炎ウイルスの10倍といわれるほど、死に至る危険性が高いことで知られています。慢性化することはほとんどありませんが、妊婦さんが感染すると重篤化しやすいようです。

症状

急性肝炎の初期症状は、食欲不振、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、気分不快、発熱、頭痛、皮膚や眼球の白い部分が黄色くなる黄疸(おうだん)、褐色(かっしょく)尿などです。

劇症肝炎では、黄疸や倦怠感(けんたいかん)、腹水・胸水、全身のむくみ、消化管出血、意識障害などの症状が出現するようになります。

A型

2〜6週間の潜伏期間を経て急性肝炎をおこし、4週間ほどで治まりますが、まれに劇症肝炎に陥ることがあります。小児の場合は自覚症状が認められないことが多いようです。

B型

約3割が1~6カ月の潜伏期間を経た後に急性肝炎を起こしますが、多くの場合、数週間でピークを迎え、回復に向かいます。1~2%程度の確率で劇症肝炎を発症します。

感染しても発症せずにウイルスを持ち続けるケースでは、やがて慢性肝炎を発症し、肝硬変、肝細胞がん、肝不全に進行するといわれています。

C型

感染しても自覚症状がないケースがほとんどです。感染者の約3割は体内から自然とウイルスが排除されますが、7割は慢性肝炎に移行し、自覚症状のないまま長い期間かけて、肝硬変や肝臓がんへと進行します。

D型

B型肝炎と同時に感染し、急性肝炎や劇症肝炎をおこします。

E型

急性肝炎の症状が現れた場合には、安静を保つことが重要です。通常は自然治癒する疾患ですが、劇症肝炎を発症することもあります。劇症肝炎が発症した場合には、肝移植の適応も考慮されます。

検査・診断

血液検査によって、感染しているウイルスと肝臓の炎症の程度を判断します。

感染すると、そのウイルスに対応した抗体が体内で産生されるため、血液中の抗体を測定します。

そのほか、リアルタイムPCR法という検査で、ウイルスの遺伝子を調べることがあります。

治療

A型とE型のウイルスによる肝炎では、特別な治療法がないため、安静を保って経過観察を行うことが大切です。

B型肝炎ウイルスに対しては、抗ウイルス療法を行ってウイルスの増殖を抑えることで、肝硬変や肝臓がんへの進行を予防します。

C型肝炎ウイルスの治療では、近年、複数の抗ウイルス薬を服用することで、大幅にウイルスを排除することができるようになりました。軽症のうちに治療を開始すれば、完治をめざせます。ウイルスが排除されない場合は、肝庇護療法(かんひごりょうほう/ウイルスを攻撃するのではなく、肝臓の機能を正常化することで症状の進行を抑える)によって肝臓の炎症を抑えて、進行を予防します。

更新:2022.05.16

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