ウイルス性肝炎は治すことができますか?

消化器内科

C型慢性肝炎とは?

最近の新しい薬剤の開発により、ウイルス性の「C型慢性肝炎(がたまんせいかんえん)は治すことができます」と言えるようになりました。

ウイルス性肝炎にも多くの種類がありますが、慢性肝炎から肝硬変(かんこうへん)や肝がんとなる原因で最も多いのが、C型肝炎ウイルスによるC型慢性肝炎です。C型肝炎ウイルスは平成元年(1989年)に発見され、平成の時代に治すことができるようになった、平成を象徴する病気です。

表

肝臓は沈黙の臓器といわれ、C型慢性肝炎の初期の間は症状もなく、AST(*)などの肝機能が少し悪化する程度ですが、「図」のように病状が進行し肝硬変になると肝臓が硬くなり、お腹(なか)に水が溜(た)まったり、顔が黄色くなる黄疸(おうだん)が出たり、体がだるい状態になります。また、肝がんを合併することもあり、入院を繰り返して手術やカテーテル治療などが必要になります。

*AST:肝細胞に多く含まれている酵素で、アミノ酸を作り出す働きがあります。肝細胞が破壊されると血液中に放出されるため、その量によって肝機能を調べることができます。心臓や筋肉などにも存在します

図
図 肝炎の経過

C型慢性肝炎の治療ってどのようなものなの?

C型慢性肝炎を治療することで、肝硬変や肝がんになるのを抑えることができるようになりました。直接型抗ウイルス薬という飲み薬が有効で、8〜12週間内服することにより95%以上のC型慢性肝炎を治すことができます。治癒後は、薬を服用する必要はありません。

副作用もありますが、軽微なことが多く、ほとんどの方が治療を終えることができます。以前の大変なインターフェロン治療を受けたことがある方は、副作用があまりにも少ないことに驚かれます。

その反面、とても高価な薬という大きな欠点もあります。しかし、肝硬変や肝がんで入退院を繰り返す際の治療費も非常に高額で、その入院費用を減らすという将来の経済的な意味でも有効です。

直接型抗ウイルス薬の治療は非常に高額になるため、治療費が心配な方もいると思いますが、各都道府県では医療費の助成制度が制定されています。手続きは少し煩雑ですが、大幅に自己負担額が軽減されるので、皆さん申請して治療を行っています。

直接型抗ウイルス薬でC型慢性肝炎が治った方でも忘れてはいけないのは、肝がんのリスクがゼロになったわけではないということです。定期的に腹部エコーなどで経過をみることが重要です。

C型慢性肝炎の診断はどのように行うの?

ではそもそもC型慢性肝炎の診断はどのように行うかといいますと、血液中のHCV抗体というものを測定し診断します。現在のところ検診としてHCV抗体を測定する体制はなく、一般の人間ドックなどの健診でも必ずしもHCV抗体は測定していません。

肝機能の異常を指摘されたことがある方や、血液を介して感染するので過去に輸血した方、タトゥー(入れ墨)をしている方は、積極的にHCV抗体を検査し、C型慢性肝炎をみつける意識を持つ必要があります。抗体が陽性の方は、ウイルスの量や型をさらに詳しく調べます。

「C型慢性肝炎は治る」病気になりました。早期に発見し、しっかりと治療をしましょう。

B型肝炎と治療法は?

一方、同じウイルス性肝炎としてB型肝炎があります。B型肝炎ウイルスは非常に感染力が強く、性交渉や医療者の針刺し事故などにより急性肝炎を起こし、治療が必要となることがありますが、大人になって感染した際に慢性化することは少ないです。

B型肝炎の場合の慢性肝炎は、ほとんどが幼少時の免疫がまだ十分に発達していない時期の感染により起こるとされています。C型慢性肝炎と同じように、慢性肝炎から肝硬変や肝がんの合併など、重篤な状況になる可能性があります。

有効な抗ウイルス薬も開発されていますが、C型慢性肝炎と異なり、治すことはできません。ただし、肝炎を抑えることは可能です。そのままにせず治療をしたほうが、肝硬変や肝がんになるのを抑えることができます。B型肝炎の抗ウイルス薬はC型慢性肝炎の治療と異なり、継続して飲み続ける必要があります。

そのほかの肝炎とは?

また、ウイルス性肝炎とは異なり非常にまれですが、膠原病(こうげんびょう)の一種である自己免疫性肝炎という病気があります。放置すると肝硬変になる場合がありますが、ステロイドという薬が有効です。

更新:2022.06.13