乳がんの診断と手術・放射線治療とは?

乳腺外科 放射線治療科

乳がんの診断方法は?

乳房にしこりがあったり、血まじりの乳頭分泌があった場合には、乳房のレントゲン検査(マンモグラフィといいます)や乳腺(にゅうせん)超音波検査を行います。その結果、がんの疑いがあれば確定のために針生検などを行ったり、分泌物を採取して、顕微鏡検査に提出し、悪性か否かを診断します。診断が難しい場合には、乳腺のMRI(核磁気共鳴)検査を行うこともあります。

手術にはどんな方法があるの?

手術前の診断で、進行・転移していないことが前提です。もし、進行転移していると判断されれば、手術前に薬の治療を先にすることが一般的です。

手術は、1.乳房をどれだけ切除するかと、2.わきの下のリンパ節をどれだけ取るかの、両者の組み合わせからなります。

1.乳房の手術

①乳房部分切除

しこりから2cm程度離したところで部分的に(乳房全部でなく)切除します(図1)。明確な基準はありませんが、しこりの大きさ・位置・手術後に想定される乳房の変形(美容的に満足できるか)を考慮し決定します。患者さん本人の希望にもよります。

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図1 乳房部分切除術

乳房部分切除をした場合には、手術後落ち着いた段階で、残した乳腺に平日毎日1回、16〜30回ほどの放射線を当てます。乳房部分切除と放射線治療をあわせて「乳房温存療法」といいます。放射線を当てないと、再発率や生存率が②の全切除術に劣ることが分かっています。いろいろな事情により放射線を当てたくない方には、②の全切除をお勧めします。

②乳房全切除術

しこりが大きかったり(およそ3cm以上)、乳房内を網の目状に広がっていると考えられる場合に、全切除を行います(図2)。美容的な満足を得たい場合には、形成外科での乳房再建術をすることもあります。形成外科医とよく相談しましょう。

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図2 乳房全切除術

さらに、乳頭には及んでいないと考えられる場合、または乳房再建を予定される場合には「乳頭乳輪温存乳房全切除術(図3)」や「皮膚温存乳房全切除術(図4)」という術式もあります。

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図3 乳頭乳輪温存乳房全切除術
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図4 皮膚温存乳房全切除術

2.わきの下のリンパ節の取り方

①センチネルリンパ節生検、②リンパ節郭清術に分けられます。わきの下のリンパ節をたくさん取れば、リンパ浮腫(ふしゅ)や腕のしびれ感、わきの動かしにくさなどの後遺症があり得ます。わきの下のリンパ節に転移がなければたくさんとる必要はなく、これらの後遺症もありません。

そのため、可能であればたくさん取らなくていいように考えられたのが、①センチネルリンパ節生検です。センチネルリンパ節とは、乳がんがリンパの流れに沿って最初に到達するリンパ節のことです。手術中に色素を使ってこのセンチネルリンパ節を発見し、転移があるか否かを調べます。転移がなければ、これ以上リンパ節を取る必要がないので、リンパ浮腫などの後遺症は起こりにくくなります(図5)。

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図5 センチネルリンパ節生検

②転移があれば腋窩(えきか)リンパ節郭清(かくせい)といって、もっと多くのリンパ節を周囲の組織も含めて切除します。病気の程度を調べることで、手術後の補助治療の決定に役立ちます。

どんな場合に放射線治療を行うの?

手術などをせずに、乳がんそのものを放射線治療だけで治すことはできません。乳房温存療法として、残した乳房に放射線を当てます。また、全切除術後でも乳房の腫瘍(しゅよう)が大きかった場合やリンパ節転移がある場合に、鎖骨の上下や胸の壁などに放射線を当てます。なお、骨や離れた場所のリンパ節など、転移が分かった場合にも放射線を当てることがあります。放射線治療医とよく相談してください。

乳がんの手術術式の選択や、腋窩リンパ節を郭清するかセンチネルリンパ節生検を選択するか、また乳房再建術を希望するか、放射線治療との組み合わせなど、複雑で分かりにくいものです。

主治医とよく相談し、納得のいく方針を考えていきましょう。

更新:2022.03.29