5月病ってなに?原因と対策について解説します
メディカルブレイン編集部

進学や就職、転勤などで生活環境が大きく変わり、不安・緊張・ストレスの大きい日々が続き、精神的に疲れた状態のままゴールデンウイークを迎えた方もいると思います。長い休暇に入り緊張の糸が切れ、気分が落ち込み、やる気の低下、倦怠感、食欲不振、不眠などの症状が現れることを、一般的には「5月病」といいます。4月の環境変化から1か月ほど経った5月に発症することが多いため5月病と呼ばれていますが、これは正式な医学用語ではなく、医学的には多くが「適応障害」と診断されます。
なぜ5月病になるの?
「5月病」といってもその症状はさまざまで、原因も必ずしも1つではありませんが、原因の1つとして考えられるのが自律神経の乱れです。
新しい環境に適応するために、体や脳はさまざまな変化を起こします。自律神経も不安や緊張、ストレスに対応しようと活発に働きます。
自律神経には、活動しているときに働く交感神経と、休息しているときに働く副交感神経があり、それぞれ違う働きをしています。
交感神経は、活発に活動しているときに働き、ストレスや緊張を感じたときに活動が増加します。これに対し副交感神経は、夕方から夜にかけて活発になっていき、体を休息に導いていきます。夜寝ている間も副交感神経が働いています。
新しい環境で、過度なストレスや緊張状態が続くと、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまい、倦怠感やだるさ、不眠などの症状が出てきます。
具体的にはどんな症状が出るの?
5月病の症状は人それぞれですが、体にも心にも症状が現れます。
体の症状 | 心の症状 |
---|---|
・倦怠感 ・全身のだるさ ・不眠 ・食欲不振 ・動悸 ・めまい |
・気分の落ち込み ・やる気の低下 ・不安感 ・焦燥感 ・イライラ ・過度の緊張 |
このような症状のため、会社や学校に行きたくなくなったり、人に会いたくなくなったりします。
周りの人から見て、5月病では?と疑われる人の具体的な行動としては、
・提出物の締め切りを守れない
・ミスが増える
・人とのコミュニケーションがうまくとれない、トラブルを起こす
・遅刻や欠勤・欠席が増える
などが挙げられます。
新入生や新入社員、異動してきた人が、5月になってこのような行動が増えた場合は注意が必要です。
5月病になりやすい人はどんな人?
どんな人でも5月病にかかる可能性はありますが、特に以下のような人は注意が必要です。
- ・新しい環境や変化に適応するのが苦手な人
- 新しい職場や学校、地域などに適応するのが苦手な人は、新しい環境にストレスを感じやすく、5月病になりやすいと考えられます。
- ・周囲の人の言動や気持ちが気になりやすい人
- 新しい上司や同僚からの期待やプレッシャーを必要以上に感じたり、周りの人の言動に反応しやすい人は、人間関係やコミュニケーションに不安を感じたり、ストレスを感じやすく、5月病になりやすいと考えられます。
- ・悩みや不満を一人で抱えてしまう人
- 悩みや不満はストレスの原因となることがあり、それを一人で抱え込んでしまうと、心身ともに疲れてしまいます。
- ・完璧主義、几帳面で真面目、自分に高い目標を設定する人
- このような人は、新しい環境においても自分に高いパフォーマンスを求めがちで、その結果、ストレスを感じやすい傾向があります。
5月病の予防方法・対応方法
5月病は過度な緊張やストレス、疲労が引き金になるため、ストレスや疲労をため込まないことが重要です。
そのためには以下のような対策が考えられます。
- ・適度な運動をする
- 運動は肉体的な健康に加えて、気分を上げる効果もあります。
毎日少しでも運動することでストレスを軽減することができます。 - ・規則正しい生活リズムをつくる
- 通勤・通学、睡眠、食事、運動などの生活リズムをつくることで、心身のコンディションを整えることができます。また、バランスの良い食事をとることも心がけましょう。良い食事は、メンタルヘルスにも良い影響を与えます。
- ・趣味や新しいことに興味を持つ
- 趣味や新しいことに興味を持つことは、沈んだ気分を晴らします。ストレス解消のために、自分が楽しめる趣味を見つけることも大切です。
- ・休息を十分とる・質の良い睡眠
- 過度なストレスは心身に負担をかけるため、休息をしっかりとることが重要です。また、質の良い睡眠をとることで、成長ホルモンが多く分泌され、疲労回復を促進します。同時に自律神経も整いストレスが軽減されます。
- ・人とコミュニケーションをとる
- ストレスを抱えているときは、一人で抱え込まずに誰かに話を聞いてもらうことも大切です。友人や家族、心療内科医に相談することで気分を軽くしたり、問題を解決しやすくなります。
以上のような対策を試しても、5月病の症状が頻繁に現れ、その状態が1週間以上続くような場合には、早めに心療内科医に相談することが大切です。
更新:2023.08.22