避妊に使えるミニピル「スリンダ錠28」が生理痛・PMSに効くって本当?効果や体への負担は?

2025年5月に国内でミニピル「スリンダ錠28」が初めて承認され、同年6月より国内販売が開始されています。従来の低用量ピルを使えなかった人や使いづらかった人にも処方できる可能性があることから、注目を集めています。今回はミニピル(スリンダ錠28)を服用することで期待できる効果や、従来の低用量ピルとの違いについて解説します。
ミニピル「スリンダ錠28」と従来の低用量ピルの違いとは?
ミニピル「スリンダ錠28」は、血栓症を引き起こすエストロゲンを含まない
ミニピル「スリンダ錠28」は、従来の低用量ピルとは異なりエストロゲン(卵胞ホルモン)を含まず、プロゲステロン(黄体ホルモン)のみが配合された経口避妊薬です。正しく服用すれば、低用量ピルと遜色ない99%以上の避妊効果が期待できる薬です。
エストロゲンには血液を固まりやすくする副作用があり、血栓症を引き起こすリスクがあることから、40歳以上の人、35歳以上かつ1日当たり15本以上の喫煙者、重度の肥満、高血圧といった人は、従来の低用量ピルは服用できません。エストロゲンを含まない「スリンダ錠28」は、これらの人にも処方できる可能性がある薬です。
低用量ピルとミニピル(スリンダ錠28)の比較
従来の低用量ピルと「スリンダ錠28」には、エストロゲンを含むかどうか以外にも違いがあります。違いをまとめたのが、以下の表になります。
| 低用量ピル | ミニピル(スリンダ錠28) | |
|---|---|---|
| 配合ホルモン | エストロゲン、プロゲステロン | プロゲステロンのみ |
| 主な副作用 | 血栓症、吐き気、むくみ、頭痛 | 不正出血、吐き気、頭痛、肌荒れ・ニキビ |
| 血栓症のリスク | 高い (特に40歳以上、喫煙者、重度の肥満、高血圧の人) |
低い |
| 服用条件 | 40歳以上の人、35歳以上かつ1日当たり15本以上の喫煙者、重度の肥満や高血圧の人は服用できない | 年齢、喫煙歴、高血圧、肥満などで低用量ピルを服用できなかった人にも処方できる可能性がある |
| 服用方法 | 21日間の服用後、7日間の休薬期間もしくは偽薬期間あり | 24日間同じ時間に服用した後、4日間の偽薬期間あり |
このように、副作用や血栓症のリスクにも違いがあります。続いては、それらの違いについて解説します。
低用量ピルとミニピル(スリンダ錠28)とでは、副作用や血栓症のリスクが異なる
「スリンダ錠28」服用時には、不正出血が起こることも
まずは副作用の比較です。低用量ピルの服用時の最も大きな副作用としては、先に述べたように血栓症が挙げられます。ほかには、ホルモンバランスが一時的に変化することから吐き気やむくみ、頭痛が起こることがあります。ただ、体が慣れてくるにつれて緩和することがほとんどです。
一方「スリンダ錠28」は、服用し始めてから3か月程度の間は不正出血が起こることがあります。プロゲステロンの影響で子宮内膜が薄いまま保たれるようになり、内膜がはがれ落ちること(経血)がなくなるのがミニピル全般の特徴なのですが、この影響で服用後3か月程度は少量の不正出血が続くことがあるのです。ただしこれも、体がホルモンバランスの変化に慣れてくることで、収まることがほとんどです。
また「スリンダ錠28」ではホルモンバランスの変化により服用後に肌のトラブルが起きることもありますが、これも体が慣れてくると和らぎます。
「スリンダ錠28」は血栓症のリスクが低い
先に述べたようにエストロゲンには血液を固まりやすくする副作用があるため、40歳以上の人や35歳以上で1日15本以上喫煙する人、重度の肥満や高血圧の人には高い血栓症リスクがあることから、低用量ピルは服用できません。
しかし「スリンダ錠28」はエストロゲンが配合されていないため、年齢や喫煙歴、高血圧や肥満などでこれまで低用量ピルを服用できなかった人にも処方できる可能性があります。
低用量ピルもミニピル(スリンダ錠28)も、服用時には休薬期間や偽薬期間が必要
低用量ピルも「スリンダ錠28」も、服用方法は基本的に大きく異なりません。いずれも毎日飲み続けるのではなく、服用を一時中断する休薬期間、あるいは有効な成分を含まない偽薬を飲み続ける偽薬期間を設けます。
低用量ピルも「スリンダ錠28」も、28日間を一つの周期として服用します。ただし、低用量ピルの場合は21日間薬を服用し続けた後に7日間の休薬期間あるいは偽薬期間を設けるのが一般的なのに対し、「スリンダ錠28」では24日間服用した後、4日間偽薬を飲み続けます。「スリンダ錠28」では間違えて服用しないように、偽薬は黄色に色づけられています。

休薬期間や偽薬期間が必要な理由は、一時的にプロゲステロンを減少させて消退出血という生理のような出血をあえて起こすことで、生理の周期を安定させることです。
低用量ピルや「スリンダ錠28」を服用すると生理が止まると考える人もいますが、これは誤解です。生理のような消退出血は起こります。ただし、国内では未承認ですが海外のミニピルの中には毎日服用するタイプもあり、そのようなミニピルを服用した場合、生理は止まります。
低用量ピルとミニピル(スリンダ錠28)の避妊効果やPMS
避妊効果はほとんど変わらない
低用量ピルはほぼ確実に排卵を抑制し、また子宮内膜も薄くなることで着床しにくくなるため、避妊効果を生み出します。
一方「スリンダ錠28」は、排卵抑制効果は低用量ピルほどではありません。ただ、子宮の入り口で分泌される粘液を粘り気があるものに変化させることで精子の侵入を堅くブロックし、同時に子宮内膜を薄く保って着床を妨げることで、妊娠を防ぎます。
このように避妊するための仕組みに若干の違いはありますが、いずれも正しく服用すれば99%以上の高い避妊効果が期待できます。
月経困難症やPMS緩和の効果も期待できる?
低用量ピルは、月経困難症(激しい生理痛)や生理が始まる3~10日ほど前に現れる心と体の不調であるPMS(月経前症候群)の緩和効果も期待できます。ただし、一般的に低用量ピルは月経困難症の治療は保険適用の対象になるのに対し、PMSは緩和効果が国内で承認されていないため、保険適用外の自由診療になります。
「スリンダ錠28」も低用量ピルと同様に子宮内膜が厚くなるのを防ぐ効果やホルモンを安定させる効果があるため、月経困難症やPMSを緩和できる可能性は高いです。ただし、国内では「スリンダ錠28」が承認されている効果・効能は避妊のみで、月経困難症やPMSの緩和効果は承認されていません。
月経困難症やPMS緩和のために低用量ピルや「スリンダ錠28」の服用を検討している人は、医師と相談し、場合によってはほかの薬の服用も視野に入れる必要があります。
低用量ピルが向いている人
低用量ピルとミニピル(スリンダ錠28)は、それぞれ特徴が異なるため、どちらを使用するかは医師と相談したうえで決めるのが望ましいです。ただ、低用量ピルが向いているとされるのは、一般的には以下のような人です。
- 月経困難症などの改善が目的の人
- 40歳未満、非喫煙者、標準体形で高血圧などがない人
「スリンダ錠28」が向いている人
「スリンダ錠28」が向いているとされるのは、以下のような人です。
- 40歳以上、35歳以上で1日15本以上の喫煙者、重度の肥満や高血圧などにより、これまで低用量ピルを服用できなかった人
- 授乳中の人(エストロゲンが含まれていないため、母乳への影響次第では服用できる可能性がある)
- 血栓症のリスクを避けたい人

低用量ピルとミニピル(スリンダ錠28)は、避妊効果こそほとんど変わりはないものの、服用できる条件や副作用などに違いがあります。メリットとデメリットを把握し、医師と相談したうえで服用するかどうかを決めることをおすすめします。
更新:2026.09.14
