そのできもの、どう治す?

平塚市民病院

皮膚科

神奈川県平塚市南原

皮膚がんのいろいろ

高齢化社会になり、高齢者の皮膚がんの罹患(りかん)率は、ここ20年で倍近く増加しています。

皮膚の3大主要がんは、「悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)」「有棘細胞(ゆうきょくさいぼう)がん」「基底細胞(きていさいぼう)がん」です。皮膚がんというと黒いものの印象が強いですが、赤いものや茶色いもの、また、一見湿疹に見えるものなどもあります。また、予後もさまざまです。

黒いものの代表としては、メラノーマ(悪性黒色腫、写真1)や基底細胞がん(写真2)があります。メラノーマは、進行すると多臓器に転移することもあります。一方、基底細胞がんは、転移することはほぼなく、予後は良好で、再発する場合も局所に再発します。

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写真1 悪性黒色腫
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写真2 基底細胞がん

赤いものでは、陰部に生じる湿疹と間違えやすい乳房外パジエット病や、高齢者の体幹に生じるボーエン病などもあります(写真3)。陰部に生じるものは、インキンタムシや、おむつかぶれなどの湿疹と間違われることがあり、またかゆみなどの症状がないことや、見せるのが恥ずかしいということでなかなか受診されず、進行していることも少なくありません。

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写真3 ボーエン病

また、赤い皮膚病変として多いものの1つに、「日光角化症(にっこうかくかしょう)」という、顔や腕などの日焼けしたところに生じる、カサカサして赤い皮疹(ひしん)の前がん病変があります。これは放っておくと有棘細胞がんというがんになるため、早期の診断治療が有用です。

どうやって診断しますか?

臨床的に典型であれば、ある程度診断はつきますが、メラノーマや基底細胞がんの区別や、色のついた病変では、「ダーモスコピー」という拡大鏡(写真4)を使って診断します。これは外来で簡単に確認することができます。

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写真4 ダーモスコピー

最終的には皮膚の組織をとって確定診断となりますが、がんの種類によって取るべき範囲が異なるため、大きい病変では、まず一部を取る検査(生検)を行い、正確に診断してから手術で切除する範囲を決めています。

他臓器への転移の有無は、CTや超音波の画像によります。リンパ節に転移する可能性のあるがんで、画像上は腫れていないものでは、見張りリンパ節といわれるセンチネルリンパ節の生検を行うこともあります。

どんな治療法がありますか?

皮膚がんの基本的治療は、病変とその周囲の皮膚の十分な切除になります。腫瘍(しゅよう)によっては、皮膚がんの周囲の組織を2㎜から2㎝程度離して切除することが必要となります。

腫瘍が大きくなると皮膚の欠損が大きくなり、単純に縫い閉じることができなくなることもあります。その場合は植皮(体の他のところから皮膚を切り取って、欠損部に縫い付ける方法)をしたり、場合によっては、そのまま傷の状態として塗り薬のみで治療したりすることもあります。

部位や年齢、体力などを考え、切除術を行うことが困難と考えられる場合には、切除しない方法で治療します。大きい結節状(けっせつじょう)のものや、表面から血が出たり浸出液が多かったりする場合には、「モーズペースト」と言って腫瘍部を固める方法、または、ほかの外用剤で悪臭を抑えることもしています。

そのほかには、腫瘍により異なりますが、放射線治療、抗がん剤、最近では免疫療法と言われる方法も行うことがあります。特にメラノーマでは、進行期に有効とされる抗がん剤がないとされていましたが、ここ数年で複数の新たな治療が開発されました。当院でも、そのうちの1つである、ニボルマブとイピリムマブという薬の投与ができるようになりました。

がんは高齢者で出現することが多く、手術をすることでADL(activities of daily living:日常生活動作)が低下することや、入院により認知症が始まることが懸念されます。当院では、入院期間を短縮できるように、また、入院中も安静期間を極力短くするための工夫を行っています。高齢の方でも、塗り薬でなかなか治らないものや、徐々に増大する皮疹がありましたら、かかりつけ医と相談の上、当院での受診を検討いただければ幸いです。

更新:2024.01.25