白内障手術はいつ受けたらいいの?

平塚市民病院

眼科

神奈川県平塚市南原

白内障はどんな病気?

眼の中で、カメラのレンズの役割をするのが水晶体です(図)。その水晶体が、さまざまな原因により濁ってくるのが白内障です。水晶体の中身はタンパク質で、さまざまな原因でタンパク質が変性して濁り、白内障になります。

イラスト
図 眼球の断面図

白内障の原因で最も多いのが、加齢です。視力低下などの自覚症状がなくても、検査をすると、60歳を過ぎる頃から多くの人に認められ、80歳を過ぎるとほぼ100%の人に認められます。そのほか、白内障の原因としては、眼の病気のぶどう膜炎、眼以外の病気では糖尿病、アトピー性皮膚炎、眼の外傷、薬剤の副作用などがあります。

白内障の症状は、まぶしさや眼のかすみ感が初期の症状です。その後、眼の近視、遠視や乱視の度数が変化して眼鏡が合わなくなったり、物が二重に見えたり、眼鏡をかけても視力が低下してきます。

白内障の治療はどうするの?

白内障は、点眼薬などの薬では治すことができません。カリーユニなど、白内障の進行を遅くする点眼薬はありますが、白内障の進行を完全に止めることはできません。

白内障の治療法は、手術で濁った水晶体の中身を取り、代わりに人工の眼内レンズを挿入します(写真)。

写真
写真 白内障の手術

現在、白内障手術は、濁った水晶体の中身を超音波で砕いて吸引する水晶体乳化吸引術(PEA)のあと、眼内レンズを挿入する方法が中心です。この方法は、手術の傷口も3mm弱と小さく、手術時間も30分弱の短時間で終了します。白内障がかなり進行して水晶体の中心が硬くなっているときは、傷口を大きくして硬く濁った水晶体の中身を丸ごと取り出す、水晶体嚢外(のうがい)摘出術(ECCE)を行うこともあります。この場合、超音波での手術より傷口を3倍ぐらい大きくしたり、傷口を縫合したりするため、手術時間も倍以上かかります。

白内障手術はいつ受けたらいいの?

白内障の自覚症状は、まぶしさなどの初期症状ならサングラスをかけ対応したり、近視や遠視の度数の変化なら眼鏡を調整したりして矯正します。白内障が進んで眼鏡をかけても視力が矯正できない状態で、生活に不自由を感じることが多くなったら、手術を考えてください。

白内障手術をいつ受けるのかは、年齢や生活スタイルなどによって違います。白内障があればすぐに手術ということではありません。例えば、車の運転、運転免許の更新を考えている場合は、矯正視力0.7を目安に検討していただきます。また、高齢で身の回りのことができ、生活上不自由を感じない場合は、もっと矯正視力が下がってから手術を考えていただいても問題ありません。ただ、あまり我慢しすぎると、水晶体の中身が硬くなり、超音波での白内障手術(PEA)が難しくなったり、超音波での白内障手術ができなくなったりします。

また、眼の病気、ぶどう膜炎が活動的な場合や、糖尿病など眼以外の病気の状態によっては、白内障手術を行えないこともあります。そのほか、眼の病気(加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)や糖尿病網膜症など)、特に網膜に病気があると、白内障手術を受けても視力が回復しないことがあります。このような状況もあるので、適切に白内障手術を受けていただくには、普段から近くの眼科の先生をかかりつけ医として、定期的な受診で眼の状態をよく診ていただき、ご自身でも視力などの状態をよく把握し、かかりつけ医とよく相談して、手術時期などを決めることが大切だと思います。

更新:2022.08.08