解離症

肥前精神医療センター

精神科

佐賀県神埼郡吉野ヶ里町三津

解離症

どんな病気?

通常、私たちは自分の存在をつながったひとつのまとまりとして認識しています。解離症(解離性障害)の特徴は、意識、記憶、思考や感情、自己同一性などの統合(まとまり)や連続性が失われ、そのために社会的に支障を来したり、対人関係にも困難を抱えていること、本人が症状に気づいていないこともあります。心的外傷およびストレス因関連障害群(ストレスにより引き起こされる精神障害)と密接な関係があり、現在のストレス状況も病状や経過に影響する可能性があります。解離性同一症、解離性健忘、離人感/現実感消失症などの種類があります。解離症が疑われる場合には、精神科などで専門的な治療を行います。

症状

多重人格やストレスに関連した記憶や現実感の喪失など

解離性同一症では、2つ以上のパーソナリティ状態(いわゆる多重人格)や憑依体験(霊などが乗り移る体験)の存在があります。それらの人格の一部でコミュニケーションがあることや他の人格の存在に気づかないこともあります。人格が交代している間に健忘(記憶がなくなる)があったりします。

図

解離性健忘は、通常、心的外傷的または強いストレスに関連した自伝的(自分に関する)な記憶について、部分的に思い出せなくなるものがほとんどですが、まれに、自分の名前や生活史の全てを忘れることもあります。

離人感・現実感消失症では、離人感は自分の行動や考え・感情などを傍観者のように感じる体験ですが、幽体離脱体験を含みます。現実感の消失は周囲の世界を非現実的で夢のように感じる体験です。

それらは誰にでも一過性に見られることがありますが、持続的、反復的に存在し、社会的・職業的に支障が出たりする場合に診断されます。抑うつや不安症が併存することがあります。

検査・診断

病歴と症状に基づき診断します

薬物の影響や、神経疾患など他の病気による症状でないことも重要で、血液検査や頭部画像検査、脳波検査などを行ったり、心理検査を行うこともあります。

解離性同一症では幻聴や幻視、被注察感(見張られているような気がする)、妄想を疑うような症状もあるので統合失調症などとの鑑別が必要なこともあります。また、心的外傷後ストレス障害や抑うつ障害群、パーソナリティ障害群、身体症状症、摂食障害、物質関連障害、強迫症や睡眠障害など多くの併存症を持つこともあります。解離性健忘では認知症などの認知機能低下でないこと、アルコールのブラックアウトのような薬物などの影響でないこと、脳損傷による外傷後健忘、てんかん、作為症・詐病(病気や症状をねつ造する精神障害や行為)などとの鑑別が必要です。

治療と経過

生活の安全・安定と症状改善を目指します

心的外傷との関連が強く、トラウマ治療に準じた心理治療が推奨されます。また、心理治療を導入するためには、患者さんの安全確保や生活状況の安定が最優先されます。なぜなら、今現在、暴力に脅かされている環境にいる場合、さらなる心的外傷を受けてしまう心配がありますし、生活基盤が安定している方が治療も安定して受けやすいためです。治療を共に進めていく治療者との関係を築くことも大切です。

解離症に対して、わが国で保険適応になっている薬剤はなく、海外でも有効性が確認されている薬剤はありません。心的外傷後ストレス障害に対する有効性が報告されている薬剤、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが試みられることがありますが、全ての患者さんに有効であるとは言えません。また、不眠や不安、抑うつ症状などを伴う場合には、症状に応じた向精神薬を使用することがあります。その場合、依存性や衝動性を抑えられなくなってしまう可能性のあるベンゾジアゼピン系薬剤は控えることが望ましいと考えられています。

よくある質問

ぼーっとするなどの解離症状から戻るにはどうしたらいい?

グラウンディングが有用です。文字通り「地に足をつける」ように地面を踏み締めている足の裏の感覚を感じる・体の重さを感じる、手を握る、見えるものを声に出してもらうなど五感を用いて、今現在の安全感、現実感を取り戻す方法です。

症状をCHECK
※症状は人によりさまざまです

  • □ 複数の人格がいる
  • □ 違う人みたいと他者から指摘された
  • □ 自分が知らないうちに何かをしていた
  • □ 自分が知らないうちにどこかに行っていた
  • □ ある出来事に関する記憶がない
  • □ 霧や夢の中にいるようだ
  • □ 自分の考えが自分のもののように感じられない
  • □ 私は誰でもない
  • □ 体外離脱体験(外から自分を見ている)

更新:2026.08.14