一人ひとりの大切な赤ちゃんにやさしい最新の医療を提供します

総合周産期母子医療センター

NICU、GCUとは

NICU(新生児集中治療室)、GCU(新生児回復室)とは、予定より早く生まれた未熟児や、呼吸困難などの病気の赤ちゃんを、家庭で家族が育てていけるようになるまで治療する施設です(写真)。対象となるのは、MFICU(母体胎児集中治療室)に入院していた赤ちゃんや、切迫早産で母体緊急搬送されるなどして生まれた赤ちゃん、当院以外の産科病院で生まれた病気の赤ちゃんです。

写真
写真 NICU、GCU、回診、診察の様子

正期産児と早産児・低出生体重児

在胎22週から36週で出生した赤ちゃんを早産児、在胎37週以降に出生した赤ちゃんを正期産児といいます。また、出生体重が2500g未満の赤ちゃんを低出生体重児、1500g未満を極低出生体重児、1000g未満を超低出生体重児といいます。当院NICUには、年間約60人の低出生体重児が入院し、そのうち約20人は極低出生体重児で、約10人は在胎28週未満で出生した早産児です(表)。

  総入院患者数 出生体重1500g未満 人工呼吸管理数
令和4年 136 17 15
令和5年 163 27 17

表 過去2年間の当院NICU、GCUの入院患者数と人工呼吸管理数

未熟児として生まれた赤ちゃんへの治療

在胎週数が短く、低体重で生まれた赤ちゃんの体は未熟です(図)。皮膚は薄くて弱く、通常の室温や湿度では体温や体の水分を保てないため保育器に入ります。

図
図 未熟児に起こる可能性のある疾患

肺が未熟なため、息を吸っても肺が膨らまない新生児呼吸窮迫症候群がまず問題となります。そのため、口から細いチューブを入れて、酸素を濃くした空気を肺に送り込む人工呼吸を行います。それでも肺が十分に膨らまないときには、サーファクタントという薬剤で肺を膨らみやすくします。早産児では肺がうまく成長していかない慢性肺疾患になることが多く、人工呼吸器による呼吸の補助が必要なくなっても、酸素をしばらく使用し続けることがあります。

生後数日は心臓の働きや血圧が不安定となりやすく、薬剤により調整を行います。出生後数日で本来は閉じるはずの動脈管という血管が閉じず、体に十分な血液が送れない場合には、薬物治療や手術が必要になることがあります。

お母さんが搾乳して母乳は、細いチューブを使って胃に注入して与えます。早産児の腸の壁は弱く、血液の流れの影響を受けやすいため、注入量を細かく調整します。また、成長する上で必要な栄養は太い静脈から点滴で補給します。

脳の発育が重要で、脳の中への出血や脳の酸素不足など、発達の遅れの原因となる合併症を予防するよう治療を行います。そのほか、未熟児特有の貧血、目の網膜の血管の成長不全によって失明の原因ともなる未熟児網膜症、骨の発育不良となる未熟児くる病などに対しても治療を行います。

呼吸困難のある赤ちゃんの治療

赤ちゃんは出生後にうまく泣けないと呼吸ができません。呼吸困難は正期産児にも起こることがあります。赤ちゃんが自分の便を吸い込んでしまう胎便吸引症候群や、肺の一部に穴が開く気胸(ききょう)、そのほかの呼吸障害に対し、人工呼吸器による治療を行います。

また、呼吸困難が続き、肺に血液を送る血管が収縮して、血液が流れにくくなってしまう新生児遷延性(せんえんせい)肺高血圧には、肺の血管を広げる作用がある一酸化窒素の吸入療法が有効です。当院では、入院する赤ちゃんの4割に人工呼吸管理を行っており、一酸化窒素吸入療法の専用装置を備えています。

重症新生児仮死の治療

経腟分娩でも帝王切開でも、生まれてくるときには赤ちゃんに負担がかかります。出生時の負担が大きいと赤ちゃんは呼吸、心拍、刺激に対する反応が弱く新生児仮死になることがあります。重症の新生児仮死には、体温を34℃に3日間保って、脳を守る脳低温療法を行うことがあります。当院では、低体温の状態を保つことができる新生児専用の装置で対応しています。

家族と一緒に大切な赤ちゃんを見守ります

中には治療が難しい病気や病状の赤ちゃんもいますが、赤ちゃんの誕生を家族の方が喜んで迎えていただけるよう心掛けています。希望される家族の方に、NICUの医師・看護師が出産前にお話し、NICUを見学していただく出生前訪問を行っています。出生後も早期から面会、母乳育児や抱っこができるよう家族の方と話し合いながら治療を進めています。

ここが安心

当院NICU、GCUでは、日本周産期新生児医学会認定の新生児専門医、小児科専門医、看護師で、出生前から退院後の新生児専門外来まで、家族と一緒に赤ちゃんを見守ります。

更新:2024.07.04