こころのケアセンターについて教えてください

愛知医科大学病院

こころのケアセンター

愛知県長久手市岩作雁又

こころのケアセンターは、何をするところですか?

当センターのスタッフは、精神科医(精神神経科と兼務)と臨床心理士5人で構成され、リエゾン部門と臨床心理部門があります。

リエゾン部門は、身体疾患で入院中の患者さんが対象であり、精神科医が中心となって行っています。重い身体疾患にかかったり、手術を受けなければならなくなったりしたときには、不安やストレスが増大し、不眠や情緒不安定になることがあります。それによって身体疾患の治療が滞ることがないように、こころのケアを行うことが主な目的です。具体的には、入院の際の主治医の依頼を受けた精神科医が患者さんの診察をし、必要に応じて投薬や心理士による面接を行います。また、より質の高い医療を提供するため、リエゾンチームによる病棟ラウンドやリエゾンカンファレンス(検討会、写真1)を行い、多職種による多角的視点から治療スタッフのサポートも行っています。

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写真1 腎移植外科とのリエゾンカンファレンス

臨床心理部門では、主に身体科外来に通院中の患者さんに対して、主治医の依頼に基づき心理検査などを行っています。身体疾患の背景に心理的な問題が関係しているかどうか、また身体疾患によって精神的な不調をきたしていないかなどといったことをみています。また、ご希望に応じてカウンセリング(保険適用外)も行っています。

精神神経科とはどう違うの?

当センターの対象は身体疾患を主に抱えた患者さんです。そのため当センターの業務の主な目的は身体疾患の治療の促進であり、対症療法にとどめることもあります。そして、身体疾患の治療が終了し、退院した後に、精神疾患の治療が必要な場合は精神神経科に場所を移して治療を行っています。また、当センターでもカウンセリングを行っていますが、その場合は精神疾患がないことが前提であり、そのため保険適用外となります。

育児や家族に関する心理相談にものってもらえますか?

当センターでは、育児や家族に関するこころの相談にもお応えしています。ただし、保険適用外であるため、自費となります。

また近年、産後うつなどを防止するため、産後のこころのケアの重要性が認識されるようになり、国や地域行政による取り組みが拡大しつつあります。当センターも、院内の周産期母子サポートチームに加わり、産前・産後の妊産婦さんのこころのケアに取り組んでいます。その一環として、助産師と行う産後1か月以内の母子対象の「産後ママケア外来」や、1歳未満の母子を対象にした「ママと赤ちゃんのための心理学」という講座(写真2、3)を5回シリーズで開催しています。

■「ママと赤ちゃんのための心理学」講座 http://www.aichi-med-u.ac.jp/cocoro-care/index.html

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写真2 ママと赤ちゃんのための心理学」の開催
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写真3 ママと赤ちゃんのための心理学」のパンフレット

リエゾン(Liaison)とは?

Liaisonとはフランス語で「仲介、つなぎ、橋渡し」の意味であり、そこから派生して身体医療と精神医療をつなぐものとして、1950年代にリエゾン精神医学が日本に紹介されました。リエゾン精神医学とは、身体疾患患者さんの抱える精神的問題について、身体科と精神神経科が連携して対応していく精神医学の一分野です。また、身体疾患の治療チームへのコンサルテーションを行うリエゾンチームも、近年重要視されています。

更新:2024.10.18