国際的病院機能評価(JCI)による安全と品質管理
藤田医科大学病院
病院機能管理・JCI 対策室
愛知県豊明市沓掛町町田楽ヶ窪
病院の品質はどのように評価されるでしょうか?
患者さんが受診する病院が、安全で安心な所であるかどうかは、どのように確認されているのでしょうか?医師をはじめとした一人ひとりの医療スタッフの技術が高いことは、もちろん大切ですが、病院の建物、設備、薬の管理などがしっかり行われていることも重要です。
病院の管理体制は、患者さんの命にかかわることなので、すべての病院で定期的に行政からの外部監査が行われます。これは病院が安全に運営されているかどうかの定期的なチェックですが、さらに病院が目的にあった役割を果たしているかどうかも重要です。ただし、病院の機能は施設の大きさや設立の目的により違ってきます。そのため、公益財団法人日本医療機能評価機構により、病院機能の評価が病院の役割(急性期病院・回復期病院など)ごとに行われています。審査に通ることで、病院の役割に品質を保っていることが証明されます。これは、病院の義務ではありませんが、多くの病院が定期的に病院機能評価を受けています。藤田医科大学病院も、「比較的広い地域において急性期医療を中心に地域医療を支える基幹的病院」として認証を受けています(写真1)。また、当院臨床検査室は、日本適合性認定協会によるISO15189の認証を取得し、検査測定値の高い精度を保証されています。
国際的病院機能評価JCIとは
最近、海外からの旅行者が増え、また日本で働く外国人も増えています。外国では、日本とは言葉も違えば習慣も違い、また病院のレベルも国によってさまざまです。日本を訪れた外国人にとっては、どの病院にかかれば良いのか、どこが安心して受診できる病院なのかはとても分かりにくいことです。
当院では、これまで外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の認証を受け、ジャパンインターナショナルホスピタルズ(JIH)として推奨されてきました。また、厚生労働省からは、2014年に中部地区唯一の「外国人受け入れのための拠点病院」としても認定されています。さらに、国際的な医療の安全管理基準をクリアしていることを証明するために、米国に本部を置くJoint Commission International(JCI)の認証を取得することを目指しました。
JCIの審査は非常に厳しく、5日間にわたり外国人の審査官により徹底的な現地調査と個々のスタッフへのインタビューが行われます(写真2)。さらにこの審査では、日本における「あうんの呼吸」は許されず、病院に出入りされる業者の方までも審査対象となります。設備管理も日本の法律に加えて、国際基準をクリアしなければならないため、準備にも大変な時間がかかります。その一方、すべての病院の作業を一から見直すことになり、当院もJCIへの準備を通じてさらに品質を向上させることができました。その結果、2018年に最難関である「アカデミック・メディカルセンター病院」プログラムにおいて、大学病院の本院としては国内2施設目、JCI認定病院の全体では国内26施設目として認定されました(写真3)。単一の医療施設としては、国内最大規模の施設として認定され、これにより安全で質の高い国際基準のケアを提供している医療・教育・研究機関であることが立証されました。
さらなる品質と安全の向上を目指して
外部監査による認証を受けることは、病院内外の方に、病院の品質を分かりやすくするために非常に重要なことです。しかしながら、基準はあくまで外部の組織が決めた基準です。藤田医科大学病院が目指すビジョンを反映し、大学・大学病院がこれまで大切にしてきた理念を反映した「藤田オリジナルの品質改善・安全管理」を当院では作り上げる努力を続けています。JCIによる品質改善の仕組みを上手に利用して、藤田医科大学病院が掲げる医療の理想を実現するために、これからも職員一丸となって当院の改革を行っていきます(写真4)。
更新:2024.10.21