鼻づまり・ニオイの障害に対する手術治療とは
札幌医科大学附属病院
耳鼻咽喉科
北海道札幌市中央区

鼻閉・嗅覚障害とは?
鼻づまり(鼻閉(びへい))をきたす疾患にはアレルギー性鼻炎、腫瘍(しゅよう)、鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)のほか、外傷・先天異常による外鼻変形、術後性弯曲症などがあります。ニオイの障害(嗅覚障害)の原因にはウイルス感染、アレルギー性鼻炎、外傷などがあります。慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)(特に好酸球性(こうさんきゅうせい)副鼻腔炎)は鼻閉、嗅覚障害の最大の原因の1つです。まず薬による治療を行いますが、改善が得られない場合には内視鏡下鼻副鼻腔手術を実施します。
鼻閉と嗅覚障害の原因とその診断は?
鼻閉は睡眠障害、集中力低下による学習や仕事への影響など、日常生活に大きな影響を及ぼします。また嗅覚障害は食事の楽しみを損なうだけでなく、火事やガス漏れなどの生命にかかわる判断の低下を招きます。慢性副鼻腔炎の中でも、特に好酸球性副鼻腔炎は重度の鼻閉・嗅覚障害をきたします。
好酸球性副鼻腔炎は近年増加傾向にある指定難病で、喘息(ぜんそく)を含むアレルギーが関与する疾患です。適切な診断のためアレルギー検査のほか、CT検査、鼻咽腔(びいんくう)ファイバー検査、組織生検、精密嗅覚検査を実施しています。また、当院では新型コロナウイルス感染症に伴う嗅覚障害に対して、積極的な精査加療を行っています。
内視鏡下副鼻腔手術について教えてください
薬物治療に抵抗する慢性副鼻腔炎に対して行われる手術治療です。鼻の穴から内視鏡を挿入し、副鼻腔の開放とポリープを除去します。各副鼻腔が交通することにより換気が改善し、術後に行う点鼻や鼻洗浄の効果が高まります。鼻は目や脳が近いため、ナビゲーションシステムを用いて安全に配慮して手術を行います。手術時間は2~3時間程度で、術式によっては2~3泊の短期入院も可能です。好酸球性副鼻腔炎は、経過に応じて抗体治療薬を提案しています。

更新:2024.09.23