認知症の新治療薬:「レカネマブ」とはどんな薬?

肥前精神医療センター

精神科

佐賀県神埼郡吉野ヶ里町三津

認知症の新治療薬:「レカネマブ」とはどんな薬?

認知症疾患のうち5-6割を占めるといわれるアルツハイマー病治療の新薬「レカネマブ」がわが国でも認可され使用可能となり、大きな期待が寄せられています。

レカネマブはこれまでの薬とは全く異なる作用を持つ

アルツハイマー病は、脳の中にアミロイドβ(ベータ)=たんぱくと呼ばれるたんぱく質が蓄積することによって、脳の神経細胞の障害が起こり、記憶・注意力や日常生活能力が低下する病気です。これまでの治療薬では重要なアミロイドβたんぱくに作用することができませんでした。ところが、レカネマブはそうではありません。レカネマブがアミロイドβたんぱくの小さな凝集体に結合すると、ミクログリアという免疫細胞がアミロイドβたんぱくを処分してくれます(図)。脳に蓄積した異常なアミロイドβたんぱくを減らすことで、アルツハイマー病の進行を遅らせる効果が期待できます。

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図:レカネマブはどのように効くの?

レカネマブは2週間に1回の点滴によって投与します。副作用として脳浮腫(脳のむくみ)や脳の微小出血が起きることがありますが、ほとんどの場合は無症状と言われています。これらの副作用をチェックするために定期的にMRIを撮影します。

早期のアルツハイマー病が治療対象

レカネマブの投与対象となる患者さんは、原因がアルツハイマー病であること、かつ重症度が軽度認知障害(MCI)または軽度認知症であることが必要です。アルツハイマー病であることの確認は通常の認知症診療で行われる診察、検査の他に、脳の中に実際にアミロイドβたんぱくが沈着しているかどうかを確認する検査(脳脊髄(せきずい)液検査またはアミロイドPET)を行う必要があります。

アルツハイマー病には軽い状態から重い状態までいろいろの段階があり、レカネマブによる治療対象となるのは、MCIから軽度認知症の段階にある人たちです。MCIというのは認知症の前駆状態(一歩手前の状態)のことを言います。認知症の状態が進行してしまうとレカネマブが使えなくなってしまうので、気になる症状がある方は、早期に専門医療機関を受診することをお勧めします。

更新:2026.08.14