精神科作業療法:作業を通して病気の回復を助け、希望する生活の実現をサポート

肥前精神医療センター

リハビリテーション科

佐賀県神埼郡吉野ヶ里町三津

精神科作業療法:作業を通して病気の回復を助け、希望する生活の実現をサポート

患者さんの回復と健康を促進するために、患者さんにとって目的や価値を持つ作業に焦点を当て治療や指導、達成に向けた援助を行います。

精神科作業療法の展開
統合失調症の場合

精神科作業療法では各疾患に合わせてリハビリテーションを提供していきます。ここでは、統合失調症を例に回復段階に合わせた精神科作業療法の実際について説明していきます。

統合失調症の経過として前触れの症状である前駆期、急性期、慢性期、維持期との経過を辿ることが多いです(表)。初回入院の場合には前駆期の症状を疾患の前兆と理解できずに入院となる場合が多いのですが、前駆期の症状を前兆と理解し、症状悪化を回避するために入院する(休養入院)する方もいます。

表

以降の項では、医療機関内で関わることの多い、急性期から安定期に至るまでの時期について説明します。

病気の状態からの回復を目指す
急性期の作業療法

急性期は幻覚や妄想などの陽性症状が強く出現しており、患者さんも周囲の人にとっても混乱と危険をもたらすことがある時期です。多くの場合、患者さん自身は睡眠がとれておらず、普段できている生活を維持することが難しい状態に陥っています。

そのためまずは薬物療法などを用いて休養がとれるように働きかけます。また日中には活動し、夜間には眠るという大まかな生活リズムを取り戻せるように働きかけていきます。作業療法は医師や看護師などと相談しながら、日中に簡単な作業(創作活動や軽運動/写真1、2)をして過ごせる時間やお茶会(写真3)や手浴、足浴などを行ってリラックスする時間を提供しています。

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写真1:創作活動を行う様子
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写真2:軽運動を行う様子
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写真3:喫茶やお茶会なども行っています

生活の安定を図る慢性期の作業療法

慢性期は回復段階としては急性期を脱していますが、まだまだ幻覚や妄想といった症状が残存している患者さんもいます。この時期は焦り過ぎないことが大事です。

その上で、入院前を振り返り体調を崩すきっかけとなった出来事について振り返り、今後同じことが繰り返されないようにモニタリング(患者さん自身の状態変化を知る方法)やクライシス・プラン(状態変化に応じた対処や相談の方法をまとめたもの)を多職種で作成していきます。これには患者さん本人だけでなく、家族をはじめとする支援者にも協力してもらっています。また患者さん自身が積極的に治療を受けられるように現在の治療について一緒に整理をしたり、希望を伝える練習をしたり、退院後、利用できる地域の施設などについて学び、退院後の生活を計画していきます。

退院を目指す
維持期の作業療法

維持期は入院生活から地域での生活へと移行していく時期で、入院治療の最終段階です。この時期には精神症状の出現はほとんどなくなっているか、残っていても対処行動をとれることが多くなっています。

そのため地域での生活を長く継続するために、服薬の仕方を決めたり、通院の頻度を考えたり、日々の過ごし方を決めていきます。

特に『日々何をして過ごすか』は非常に大切で、患者さんにとって目的や価値を持つ過ごし方を確認しながら、活動と休息のバランスを考えたり、余暇時間の過ごし方を考えたり、病気の状態がまた悪くなってきたときにどのように対応していくかを決めていきます。実際に外出や試験外泊などの場面を利用して、うまくできたことやできなかったことを振り返り、今後も無理なく続けられるように、患者さんや支援者と相談しながら地域生活の計画を立てていきます。また入院中受けていた医療や支援が途切れることなく退院後も継続して受けられるように、支援者同士で情報交換や会議などを行っています。

更新:2026.08.14