「済生のこころ」を大切にー無料低額診療事業 済生会生活困窮者支援事業(なでしこプラン)

済生会吹田病院

福祉医療支援室

大阪府吹田市川園町

済生のこころ

済生会が創立されたのは明治末期。経済発展の一方で貧富の差はますます激しく、貧しさに喘ぐ人々が増え続けていました。この窮状を見かねた明治天皇は、1911(明治44)年2月11日、総理大臣を召されて「医療を受けることができずに困っている人たちに施薬救療し、済生の道を広めるように」という「済生勅語」に添え、基金として御手元金150万円を下賜されました。そして、閣議ののち、同年5月に済生会が正式発足しました。

「済生」とは、中国の古典に拠ったもので、その意味は生命を救うこと。つまり「済生の道を広める」というお言葉には、国民に等しく救済の手を差し伸べたいという福祉の心がこめられています。

済生会吹田病院の理念にも「窮境にある患者さんの医療を積極的に支援する」ことが謳われており、私たちソーシャルワーカーが次のような事業の窓口となり、職員一丸で「済生のこころ」を実践するべく取り組んでいます。

無料低額診療事業

済生会の定款(会社の憲法のようなものです)の第1条1項目には「医療機関及び介護老人保健施設を経営して、生活保護患者の診療及び生計困難者のため無料又は低額診療等を行うこと」と定められています。

「無料低額診療事業」は済生会の根幹事業で、社会福祉法第2条第3項に規定する生計困難者のために無料または低額な料金で診療を行う事業です。生計困難者の診療費の減免、医療ソーシャルワーカーの配置、生活保護受給者や生計困難者対象の健康相談や保健教育、施設の運営などの10項目の基準がありますが、ここでは、その中心となる「診療費等減免」について説明します。

当院では、経済的な理由から必要な医療を受ける機会が制限されることがないように、医療費の自己負担を軽くする「診療費等減免」を実施しています。

当院で治療を受けられる方で、医療費の支払いが心配なときは、診療費減免を利用できる場合があります。病院の規程による基準がありますが、イラストのような心配がある方は、ソーシャルワーカーに相談してください。

イラスト

済生会生活困窮者支援事業(なでしこプラン)

人々にわけへだてなく救済の手を、という済生の心は社会の変遷とともにより幅広い対象者へと向けられるようになりました。さきほど説明した無料低額診療事業の対象者より広く、医療・福祉サービスにアクセスできない人を支援しようと、「生活困窮者支援事業」(済生会の紋章にちなんで「なでしこプラン」と呼ばれています)が2010年からスタートしました。

ホームレス、刑務所からの出所者、DV被害者、在留外国人等の生活困窮者全般を対象として、病院・施設において対象者の来院・来所を待つだけでなく、関係職種によるチームを編成して、巡回健診、予防接種、健康診断等、施設外に積極的に出て活動する取り組みを行っています。

*釜ヶ崎地区健診事業
釜ヶ崎支援機構と連携し、毎年9 月に健康診断を実施
要医療と判定されたひとには保健指導しています
*ハンセン病回復者への医療支援
*更生保護施設和衷会への医療支援
毎年春と秋に入所者の健康診断を実施
(上記3つは大阪府済生会〈8病院合同〉が実施)
*更生保護施設愛正会への医療支援
入所時健康診断や診療、予防接種を実施
*ホームレス等へのインフルエンザ予防接種
*妊娠等の悩み相談
保健師・児童相談所・自治体の子育て支援担当と連携して、
子育てに社会的なリスクがある妊婦を支援
*地域セーフティネット事業
周辺地域のコミュニティSW、難民支援団体、社協などと
一緒に社会的に孤立したひとを支援しています
表 吹田病院のなでしこプランの取り組み

当院でも上記の「表」のような事業を行い、病院職員一丸となって活動しています。

更新:2024.10.18