花粉症は春だけじゃない。8月から始まる秋の花粉症

メディカルブレイン編集部

花粉症と聞くと、多くの人が春のスギやヒノキを思い浮かべるかもしれませんが、秋にも存在することをご存じでしょうか。

秋は春に次いで花粉症が多い季節なのです。毎年秋になると、鼻水やくしゃみが出て風邪(かぜ)だと思い込んでいる方も少なくありません。しかしこうした症状は、実は花粉症かもしれません。今回は、秋の花粉症について詳しく解説します。

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秋の花粉症の主な原因となる植物

春に代表されるスギやヒノキだけでなく、花粉症の原因となる植物は1年を通してさまざまな種類が存在します。

秋の花粉症の主な原因は、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラの花粉です。これらの植物は背が低い雑草で、繁殖力が強く、身近な場所に生えています。木本(もくほん)花粉と呼ばれるスギやヒノキの花粉とは異なり、これらの雑草の花粉は草本(そうほん)花粉と呼ばれます。木本花粉が数十~数百キロメートルの範囲に飛ぶのに対して、草本花粉は数十メートルの狭い範囲にしか飛びません。

ブタクサ、ヨモギ、カナムグラの形状など

ブタクサ ヨモギ カナムグラ
ブタクサの写真 ヨモギの写真 カナムグラの写真
・黄色い穂状の花を咲かせる
・スギ、ヒノキに次いで3番目に多い花粉症の原因となっている
・3ミリ程度の薄茶色の花を穂状に咲かせる
・葉は草餅などの食材として利用されるほか、漢方薬としても用いられる
・雄株と雌株が存在し、異なる形状の花を咲かせる。雄株は小さな花をたくさんつけ、そこから花粉が放出される
・葉や茎には下向きのとげがある

ブタクサ、ヨモギ、カナムグラの特徴

生育場所 ・日本全国に広く分布
・空き地、道端、公園、河川敷、畑などに生える雑草で、住宅地や家の庭などでも見られる
花粉の飛ぶ時期 ・8月~12月
・ピークは9月~10月
花粉の特徴 ・背が低い植物のため、花粉の飛ぶ範囲は数十メートル
・花粉の粒子は小さく、換気口などの隙間から家の中に入りやすい
・特にブタクサの花粉は小さく、スギ花粉の約半分の大きさ
・ブタクサの花粉は、主に午前中に飛ぶとされている

秋の花粉症の症状

秋の花粉症は、春の花粉症と同じで、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状です。これらの症状が2週間以上(花粉が飛んでいる期間)続きます。また、ブタクサなどの花粉はスギやヒノキの花粉と比べて粒子が小さいため、気管に入り粘膜(ねんまく)を刺激して喘息(ぜんそく)のような症状を引き起こすことがあります。

【秋の花粉症の具体的症状】

  • 透明でさらりとした鼻水
  • くしゃみが連続する
  • 鼻づまり
  • 目や鼻、(のど)のかゆみ
  • 微熱
  • (せき)や喘息のような症状

花粉症を発症した際には、口腔アレルギー症候群にも注意が必要です。

口腔アレルギー症候群とは、果物や生野菜を食べた後、数分以内に唇や口の中、喉にかゆみやしびれなどのアレルギー反応が現れる症状です。これは、花粉のアレルゲン(アレルギーの原因となる抗原)と特定の果物や生野菜のアレルゲンの構造が似ているために引き起こされます。

ブタクサやヨモギの花粉症の場合、注意が必要な果物・野菜にはメロン、スイカ、キュウリなどのウリ科の食物、ニンジン、セロリがあります。

口腔アレルギー症候群の症状が出た場合、たいていはしばらくすると自然に症状が治まりますが、まれにアナフィラキシーショックを起こすこともあります。

秋の花粉症の対策

秋の花粉症への対策は、アレルゲンとなる植物が生えている場所に近づかないことが最も効果的です。

公園や河川敷など、これらの植物が生えやすい場所にはなるべく近づかないようにしましょう。また、通勤や通学、散歩などで日常的に通る道にもこれらの植物が生えている場合があります。花粉が飛ぶ季節には特に気をつけて、できるだけこれらの植物のない経路を選ぶなどの対策を取りましょう。

【秋の花粉症の具体的対策】

  • 原因となる植物に近づかない
  • マスクを着用する
  • うがい、洗顔、手洗いを小まめに行う
  • 家に入る前に衣服に付いた花粉を払う
  • 洗濯物を取り込む際には表面の花粉を払う

20分でわかるアレルギー検査

風邪か花粉症か自分で判断できない場合は、医療機関で指先からの採血を用いたアレルギー検査を受けることができます。この検査は、早ければ20分で結果がわかり、健康保険が適用されます。

検査できるアレルゲンは、イヌ、ネコ、ヤケヒョウヒダニ、ゴキブリ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギの8項目です。採血には注射器を使わず、少量の血液で検査が行われます。

風邪と花粉症では用いる医薬品が異なりますので、迷った場合は早めに医療機関に相談しましょう。

花粉症は春だけでなく秋にも起こります。秋にくしゃみや鼻水などの風邪のような症状が続いた場合、秋の花粉症の可能性があります。症状が重かったり不安を感じる場合は、早めに医療機関に相談し、適切な処置を受けるよう心がけましょう。

更新:2024.04.26