食道がんについて
済生会吹田病院
消化器外科
大阪府吹田市川園町
食道がんとは
食道は、のどと胃を結ぶ長さ約25㎝、太さ2~3㎝の管状の臓器です。食道の壁はいくつかの層からできていますが、胃や腸と違って外側に臓器を包む漿膜がありません。このため、食道がんは早期の段階で食道壁を破り、肺や大動脈などの周辺組織へ広がりやすく、早期発見が重視されるがんの1つです(図)。
50歳代以上の方に多く、男女比は6対1と男性に多い病気です。喫煙とお酒をたくさん飲む方は要注意です。食道がんは悪性度が高いがんですが、早期発見すれば治療成績は良好です。症状は、無症状のものから、食道がしみる感じ、食物のつかえ感、胸痛、声のかすれなどがあります。
診断方法
最も重要な検査は内視鏡検査です。小型のカメラを装着した細い管を口または鼻から挿入し、病変の数や広がりにより進行度を判断することができます。CT検査では周囲臓器との関係、リンパ節、他の臓器への転移も調べることができます。進行がんには、進行度を判定するために最も重要な検査です。
治療
大きく分けて4つの治療法があります。内視鏡治療、手術、放射線治療、抗がん剤治療で、食道癌診療ガイドラインに従い方針を決定します。
内視鏡治療 ステージ0
内視鏡を使って食道の内側からがんを切除します。限られた病期だけですが、治療後も治療前と同様の生活ができます。
手術(ステージⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳaの一部)
現在、食道がんに対する最も標準的な治療法です。胸からお腹(なか)にある食道を切除します。同時にリンパ節を含む周囲の組織も切除します。切除した後は、胃や腸を使って食物の通る新しい通路をつくる再建手術を行います。また、病期によっては、術前抗がん剤を行った上で手術をします。
従来は右胸部、腹部、くびに大きな切開で手術を行っていましたが、最近ではテレビモニターを用いた胸腔鏡(きょうくうきょう)・腹腔鏡(ふくくうきょう)で小さな創(きず)で手術をすることが可能となりました。鏡視下手術の利点としては、術後の痛みが軽く、術後肺合併症の軽減が期待されることが報告されており、当院でも施行しています。
放射線治療
手術と同様に限られた範囲のみを治療できる局所治療ですが、機能や形態を温存することをめざした治療です。抗がん剤と組み合わせて、根治(こんち)治療を行う場合もあります。
抗がん剤治療 (ステージⅣb) 全身治療
がん細胞を傷つけ縮小させる効果のある薬(抗がん剤)を体に投与し、治療を行う方法です。抗がん剤は血液の流れに乗って全身に行きわたるため、遠隔転移があり手術では切り取れないところや放射線を当てられないところにも、効果を期待することができます。
更新:2024.10.07