CT/MRIやエコーの画像データを用いたFusion image technologyによる肝臓がんのラジオ波療法ー肝臓がんを早く見つけて確実に治す

済生会吹田病院

消化器内科

大阪府吹田市川園町

早期肝臓がんに低侵襲なラジオ波焼灼療法

肝臓にできるがんのうちで最も多い肝細胞がんは、90%以上が、B型・C型慢性肝炎や肝硬変(かんこうへん)の状態から発生します。最近は、糖尿病や非アルコール性脂肪肝炎からも発生しやすいことが分かっています。がんをうまく治療できても、肝臓のほかの場所にがんが高率に再発しやすい、といった他の臓器のがんにみられない特徴があります。

肝臓がんは早期診断、早期治療により治癒率は高くなります。肝臓がんは治療後も高い再発率を呈しますが、それでもやはり早期に診断できたもの(進行度の低いもの)ほど、予後は良好です。早期例では治療法として切除のみならず、より侵襲(しんしゅう)(体への負担)の低いラジオ波焼灼療法(はしょうしゃくりょうほう)(radiofrequency ablation/RFA)といった内科的な治療法なども可能となります。皮膚や腹膜(ふくまく)に局所麻酔を十分にした後、電極針を肝臓がんにエコー画像下に誘導します。電極針が肝臓がんに到達すれば通電し、数分から数十分で治療を終了します。もちろん、静脈から鎮痛剤を投与して、疼痛(とうつう)をできるだけ少なくする工夫をしています。このような方法の利点としては、全身麻酔が不要で術後の負担が軽いことなどがあります。また、当院ではラジオ波の焼灼範囲を調節できる機器を早期に導入し、肝臓への負担をできるだけ少なくするような取り組みを行っています。

肝臓がんを早期発見するには超音波・CT・MRIといった画像検査や、AFP・PIVKAⅡなどの腫瘍(しゅよう)マーカーといった血液検査が用いられます。肝硬変の方や肝臓がん治療後の方は、肝臓がんのリスクが高く、2~3か月ごとの超音波検査や腫瘍マーカーの測定、3~6か月ごとの造影CT/MRIが必要です。このような方法で見つかった肝臓がんは2㎝より小さいことが多く、より侵襲の低いラジオ波焼灼療法が可能となります。

当院オリジナルの方法で肝臓がんを描出

造影CT/MRIで見つかった小さな肝臓がんは、それらの画像データを超音波検査装置に取り込み、その画像データを超音波画像とリアルタイムに連動できる装置を用いて、ラジオ波療法などの治療を行います。そうすれば、より確実に肝臓がんを治療することが可能になります。さらに当院では、Fusion marker two point methodというオリジナルな方法を用いて、超音波検査だけでは見つからない肝臓がんを描出し治療を行い(図)、積極的に肝臓がんの早期発見・治療に取り組んでいます。

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図 造影MRI検査で認められたエコー検査では描出できない肝臓がんをFusion marker two point methodという当院オリジナルな方法を用いて、描出が可能になりました

2018年1月には新たに超音波検査装置を導入しました。機器の進歩により、より小さな肝臓がんを発見し、より確実に治療することがさらに可能となりました。また、ラジオ波焼灼療法より効果が期待されているマイクロ波凝固療法をいち早く導入し、より確実に治療を行い、再発を少なくするよう機器の更新や技術の探求を日々続けています。

更新:2024.01.25