アルツハイマー型認知症以外の認知症

肥前精神医療センター

精神科

佐賀県神埼郡吉野ヶ里町三津

アルツハイマー型認知症以外の認知症

どんな病気?

認知症の中で最も頻度が高いのはアルツハイマー型認知症ですが、これ以外にも認知症にはいくつかの種類があります(図)。

図
図:認知症の原因となる病気
出典:厚生労働省「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能への障害への対応」(平成25年5月報告)

認知症の種類によって症状の現れ方や進行の仕方に違いが見られ、有効な治療やケアがそれぞれ異なります。このため、単に認知症の診断でとどめずに認知症の種類まで同定することはとても重要です。ここでは血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症についてご紹介します。また、treatable dementia(トリータブル ディメンチア)と呼ばれる一群についても取り上げます。

症状

最初に現れる症状は、原因となる病気によってさまざま

認知症の種類によって初期に現れやすい症状に違いが見られます。レビー小体型認知症では実際には存在しないものが見える幻視の症状や、睡眠中に見られる奇妙な行動、手足の震えやこわばりなどの症状が特徴的です。前頭側頭型認知症では性格の変化や社会的ルールを逸脱する行為が現れることがあります。血管性認知症では感情のコントロールがうまくできずに過剰に泣いたり怒ったりしてしまう症状が特徴の一つです。treatable dementiaは原因に応じた治療を行うことで症状改善が期待できる認知症の総称です。認知症全体に占める割合は高くないものの、認知症が疑われる場合にはその可能性を一度は考慮する必要があります。treatable dementiaの一つである特発性正常圧水頭症では認知機能障害に加えて歩行障害と排尿障害が認められる点が特徴的とされています。また、ビタミンB群の欠乏が認知症を引き起こすことがありますが、慢性的なアルコール多飲との関連が指摘されているビタミンB1欠乏症では眼球運動障害が見られることがあります。

検査・診断

複数の検査を組み合わせて特徴的な所見を確認する

まずは問診で生活の様子や症状の経過を把握します。また、身体診察で神経系の異常所見の有無を確認し、血液検査や心理学的検査も実施します。CTやMRIによる脳の形態の評価も一般的です。単独の検査のみで認知症の種類まで確定することはできないため、複数の検査所見を組み合わせて各種の認知症を区別します。区別が難しい場合などはさらに付加的な検査を実施することもあります。例えば脳血流SPECT(スペクト)検査という核医学検査の一種では脳の血流を測定することができます。認知症の種類によって血流低下が現れやすい脳の部位が異なるため認知症の種類を同定するのに有用です。

治療と経過

認知症の種類によって治療と経過も変わる

レビー小体型認知症と前頭側頭型認知症はアルツハイマー型認知症と同様に発症してから徐々に進行していきます。治療としては薬物治療のほか、リハビリや生活しやすい環境を整えるといった非薬物治療が用いられます。血管性認知症は脳卒中などの脳血管障害や脳血流の循環不全が原因となる認知症です。脳血管障害の蓄積により症状が進行するため新たな脳血管障害の予防が重要であり、糖尿病や高血圧などの内科疾患を適切にコントロールすることが推奨されます。treatable dementiaに対しては原因に応じた治療により症状を改善できる可能性があります。例えば特発性正常圧水頭症にはシャント術という手術が行われます。甲状腺機能低下症が原因の認知症であれば、甲状腺機能を補正する治療が効果的な場合があります。

よくある質問

どこに行けば診断してもらえますか?

認知症で現れる症状は多岐に渡ります。特にアルツハイマー型認知症以外の認知症では物忘れ以外の症状で気付かれることも少なくありません。例えば歩き方がおかしいとか、ぼーっとしていることが多いという症状が認知症の徴候の場合があります。他の精神疾患と区別が難しい場合もあり、うつ病だと思われていた患者さんが実は認知症だったというケースは一例です。認知症の種類を問わず、早めに発見して治療やケアを行うことは本人だけでなくそのご家族や支援者にとっても有益です。受診先に迷った時には認知症疾患医療センターの受診をお勧めします。病院受診に抵抗がある場合には地域包括支援センターへの相談やもの忘れ相談会などの利用をご検討ください。

症状をCHECK
※症状は人によりさまざまです

  • □ 幻視、手足の震えやこわばりが見られる
    ➡レビー小体型認知症の症状かもしれません
  • □ 性格が変わり傍若無人なふるまいが増えた
    ➡前頭側頭型認知症の症状かもしれません
  • □ 脳卒中を起こしてから様子が以前と異なる
    ➡血管性認知症の症状かもしれません
  • □ 歩き方がおかしい、尿失禁がある
    ➡特発性正常圧水頭症の症状かもしれません
  • □ 活気がなくぼーっとしている
    ➡内科疾患の悪化や薬の飲み合わせが原因の症状かもしれません

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更新:2026.08.14