睡眠障害

肥前精神医療センター

精神科

佐賀県神埼郡吉野ヶ里町三津

睡眠障害

どんな病気?

睡眠障害には、不眠症・過眠症・睡眠リズム障害の他にも睡眠時無呼吸症候群や睡眠関連運動障害などが含まれますが、ここでは特に頻度の高い不眠症をとりあげます。不眠症では眠る機会や環境が適切であるにもかかわらず、睡眠の開始と持続、安定性、あるいは質に持続的な障害があり、日中の眠気、倦怠感、集中困難、抑うつ、不安などさまざまな精神・身体症状が出現します。このために長期欠勤、生産性の低下、産業事故の増加などさまざまな人的あるいは社会的損失を引き起こすため、公衆衛生学上も大きな課題となっています。

症状

入眠や睡眠維持の困難があり日中の機能障害が見られる

不眠症は、持続的な睡眠障害、適切な睡眠の機会、日中の機能障害という三要素を含んでいます。成人の不眠症の典型的な訴えは、寝付けない、または睡眠が維持できないというものです。これらの症状があったとしても、日中の機能障害が見られない場合には不眠症とは見なさず、薬物療法の対象とは通常なりません。日中の典型的な症状としては、疲労感、意欲の低下、イライラ、集中力低下などがあります。成人では慢性的な不眠症のために社会生活や職業生活に支障を来し、生活の質が低下します。小児の場合には学業成績の低下や注意力の低下、行動の問題などが起きることがあります。その他にも不眠症によって筋緊張や動悸、頭痛といった身体症状が見られることがあります。

検査・診断

問診が中心となるが睡眠誤認の問題もある

基本的には問診の中で、睡眠に関する訴え(入眠困難、睡眠維持困難、早朝覚醒など)と日中の障害(疲労、注意力の低下、生活上の機能障害、イライラなど)の程度を確認することにより診断を行います。加えて、眠る機会や環境が適切であるかどうかも確認します。睡眠に割り当てられる十分な時間が確保できない場合や、睡眠環境が適切でない(明るい、うるさいなど)場合には、眠れないのは当然のことであり病気とは言えないからです。また、高齢になると睡眠時間は一般的に減りますのでこれも必ずしも異常とはいえません。

不眠症患者さんの多くは実際の睡眠時間よりも睡眠時間を過小評価しますが、極端になると重度の睡眠障害を訴えてはいるものの、客観的にはそれほどの睡眠障害を認めないという睡眠状態誤認(逆説性不眠)の状態にであることもあります。近年では診察場面の中でスマートウォッチなどにより客観的な睡眠状況を気軽に共有できることも増えました。今後このような技術はますます発展し、治療アプリなどとして臨床応用されていくことが期待されています。

図

治療と経過

薬物療法だけではなく睡眠衛生指導も重要

不眠症の治療はその症状や背景を的確に捉えるところから始まります。身体・環境・心理的な不眠の要因を除去できないか検討し、睡眠衛生指導を行います。指導の内容は、定期的な運動、適切な寝室環境の調整、規則正しい食生活、カフェイン・お酒・煙草など嗜好品の摂取方法などです。これらを行った上で必要な場合には薬物療法を行います。薬物療法で不眠症状とそれによる生活の障害が改善した後にどう維持していくかということも重要で、しばらく薬物を継続した後に減薬・休薬を試みることが一般的ですが、安全性に留意しながら薬物療法を継続していくこともあります。

よくある質問

眠れなくて寝酒をします。睡眠薬も一緒に服用してもいいでしょうか

アルコールには一時的には寝付きがよくなり睡眠が取りやすくなったように感じる効果があります。しかし、入眠後は逆に眠りが浅くなって睡眠の質が悪化します。またアルコールを毎日飲んでいると徐々に体が慣れてしまって効かなくなり、量が増えてアルコール依存症に陥ってしまう可能性すらあります。睡眠が目的であれば寝酒は百害あって一利なしです。また、アルコールを睡眠薬と併用すると副作用の頻度と強度を高めることがあるため、晩酌後には睡眠薬を服用しないことが無難でしょう。特にベンゾジアゼピン系あるいは非ベンゾジアゼピン系睡眠薬と飲酒の併用は、併用後の記憶障害のみならず、呼吸抑制やせん妄状態など命に関わることもありますので禁忌と言えます。

症状をCHECK
※症状は人によりさまざまです

  • □ 寝付けない
  • □ 夜中に目が覚めて眠れない
  • □ 朝早く目が覚めてしまう
  • □ 疲れやすい
  • □ やる気がでない
  • □ 注意力、集中力、記憶力が低下した
  • □ イライラしやすい
  • □ 気分が低下する
  • □ 日中の眠気がある
  • □ 仕事上のミスが増えた

更新:2026.08.14