高エネルギー医学研究センター
福井大学医学部附属病院
福井県吉田郡永平寺町
当研究センターは、ポジトロン断層撮影(PET)装置や、磁気共鳴画像(MRI)装置を用いて生体の機能や病態を画像化し、疾患の診断、病態評価と予防に関する基礎的、臨床的研究の発展をめざしています。
高エネルギー医学について
放射線、光線、電波などはいずれも電磁波エネルギーです。医療に利用されているX線、ガンマ線などは、いずれも光よりエネルギーの強い高エネルギー線です。比較的高いエネルギーのX線や高磁場MRI装置を用いて研究を行っています。
主な業務内容
過去の臨床医学においては、X線写真が唯一の医用画像でしたが、1972年のX線コンピュータ断層投影(CT)の発明が契機となって、さまざまな医用画像が登場してきました。その中で、X線CT、MRIは臓器の形態異常の診断に優れています。これに対して、放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)を利用する核医学画像は、臓器の機能異常の描出に適しており、形態異常の出現する前の段階で疾患を見つけることができる特徴があります。PETは、短寿命のRIを利用する核医学画像の1つですが、体の中の循環代謝機能の測定ができる利点があり、脳、心臓、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)など、多くの疾患の病態の解明に貢献することが期待されています。また、MRIによる機能測定技術の開発も進化しており、今後これらの非侵襲的(ひしんしゅうてき)機能画像診断法の一層の進展が期待されています。
一方、生化学や分子生物学の目覚ましい発展により、老化、変性、発がんなど、各種の疾患において遺伝子レベルからの異常が見つけられ、多数の分子がその異常に関与することが報告されています。サイクロトロンで製造されるポジトロン核種は、これらの分子の標識に適しており、機能異常の分子レベルにおける画像化をめざしてその基礎的研究を行っています。
当センターでは2015年からPET、MRIの両者を同時に撮影できるPET/MRI装置を導入しており、臨床研究や診療に利用しています。
更新:2023.02.28