高リスク妊娠・出産・無痛分娩――安全で負担の少ない出産をめざして

浜松医科大学医学部附属病院

産科婦人科

静岡県浜松市東区半田山

安全な出産のためにチームで連携

妊娠中は、約10か月の間にいろいろなことが起こります。問題なく妊娠・出産できる方もいますが、妊娠によって血糖の値や血圧が高くなる方もいれば、出産時に出血が多くなる方もいます。赤ちゃんが通常よりも早く産まれてしまったり(早産(そうざん))、赤ちゃんに病気が見つかったりすることもあります。

また、もともと心臓や腎臓(じんぞう)、こころなどに病気を持っている方が妊娠すると、妊娠中に病気が悪化することもあります。

これらを高リスク妊娠・出産として、より注意が必要な状態であると私たちは考えています。

当院では、これらの高リスク妊娠の方でも安全に出産できるよう、病院として取り組んでいます。本書に掲載している多くの診療科と連携して、チームで妊娠・出産時の異常に対応しています。

また、週に1回、妊婦さんについての検討会を開き、情報を共有しています。多職種や地域とも連携し、お母さんと赤ちゃん、家族を中心として、出産後の母子の生活についても相談・手伝いをしていきます。

負担を和らげる分娩、増えています

当院では、患者さんの希望や医学的な理由に応じて無痛分娩(むつうぶんべん)を提供しています。無痛分娩とは、麻酔(ますい)を受けながら出産する方法です。背中からチューブを入れ、そこから痛み止めの薬を使って痛みを和らげています(硬膜外麻酔(こうまくがいますい)、図)。

イラスト
図 硬膜外麻酔

麻酔について不安に感じる方もいるかもしれませんが、経験豊富な麻酔科医、産科医、助産師らが連携して、安全で効果的な無痛分娩の提供に努めています。

2021年度の当院での出産は594件であり、そのうち無痛分娩は69件(11.6%)でした。2005年の開始時から、無痛分娩を受ける方は年々増えています。

当院の周産母子センターでは、すべての部屋で無痛分娩ができるようになりました。これからも、より多くの無痛分娩のご要望に対応していきます。(「新しい命をはぐくむ―周産母子センターについて」参照)

更新:2023.10.26