梅毒の動向、症状と治療

浜松医科大学医学部附属病院

皮膚科

静岡県浜松市東区半田山

梅毒が増えています

梅毒とは

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌が原因となる感染症です。膣(ちつ)性交や肛門性交(アナルセックス)だけでなく、口腔(こうくう)性交(オーラルセックス)でも感染します。日本では減少傾向でしたが、2010年以降、再び患者数は増加しています。

また、症状がなくても菌を排出していることがあり、抗菌薬で早期に治療すれば完治しますが、放置すると進行して、脳や心臓などに病気を引き起こす場合があります。妊婦が感染すると赤ちゃんの死亡や障害につながる恐れがあります。

症状(図)

図
図 梅毒の症状と経過(1期~4期)

1期(感染から約3週間後~3か月)では、口や性器、肛門など直接感染した場所に、しこりやただれができます。1か月くらいで自然に消えますが、治ったわけではありません!

2期(感染から約3か月以上経過)では、菌が全身に広がり、手のひらや足の裏、体に発疹が出ます。

3期(感染から約3年以上経過)では骨や筋肉などで炎症が起きます。

4期(感染から約10年以上経過)では心臓、血管、脳に病変が生じます。

梅毒未治療の妊婦だと赤ちゃんに感染し、先天性梅毒としてさまざまな症状を起こします。

治療

抗生物質であるペニシリンの内服治療を2週間から8週間行います。2021年には、ペニシリンの注射製剤が認可され、早期梅毒の場合は1回の注射で治療が可能となりました。

予防

梅毒は一度感染しても免疫ができず、何度も感染する可能性があります。梅毒を疑ったり、診断されたりした場合は、パートナーも検査を行うことが重要です。不特定多数の人との性行為は避けましょう。

円形脱毛症

円形脱毛症には、1~数個の脱毛斑から、頭部全体、全身の脱毛症状もあります。何度も再発したり、兄弟姉妹や親子で発症したりするなど、なりやすい体質が考えられることもあります。

精神的ストレス、ウイルス感染や出産、薬剤、ワクチンなど、きっかけはさまざまです。梅毒感染後に円形脱毛症のように脱毛することもあるため血液検査で確認します。

局所免疫療法やステロイド局所注射に加えて、JAK阻害薬のバリシチニブが使用可能となりました。

イラスト

更新:2023.10.26