国際標準化(国際的に認められた)された検査室
藤田医科大学病院
臨床検査科
愛知県豊明市沓掛町町田楽ヶ窪
検査室の「国際標準化」
病気の治療に「検査」は重要な役割を果たしています。もちろん検査は“正確”で“間違いのない”ものでなくてはなりません。臨床検査科では、検査を国際的に認められた手順(国際標準化)で行うことにより、信頼できる検査結果をすばやく提供できる体制を築いています。それにより2017年に臨床検査室認定機関の国際規格であるISO15189の認定を取得しています。
「検査」といっても多くの種類があります。体から得られた血液や尿などの成分を調べる「検体検査」と、体を直接調べる「生理検査」の2つに大きく分けられます。近年の検査の進歩は目覚ましく、常に最新の情報を取り入れ技術の向上に努めています。臨床検査科では、「臨床検査専門医」と「認定臨床検査技師」が最先端の検査を提供できるようにISO15189に基づく継続した取り組みを行っています。
国際標準化された検体検査(血液、微生物)
血液検査
血液検査では、多くのことが分かります(図1)。例えば、貧血の検査は想像しやすいと思います。しかし、貧血が「ある?」「ない?」だけでなく、「どんな貧血なのか?」を、特殊な装置で血液中の細胞や鉄分などを調べることにより、それぞれの患者さんにあった治療が行えるように詳しく検査しています。
これらの結果は、すべてコンピューターで管理され、速やかに電子カルテに記載されます。また、血液から分かることは貧血だけではなく、「がん」「感染症」「アレルギー」や「生活習慣病」など、血液中に含まれる成分を調べることで多くの病気やその重症度が分かります。成分を検出する作業を進めるには、検査を行う機械の管理が重要です。機械の管理も世界的に認められた(国際標準化された)方法で行い、信頼できる検査結果を提供しています。
微生物検査
普段何でもないような細菌(ばい菌)も、細菌に対する抵抗力が低下した患者さんでは非常に怖い病気を引き起こします。そのため、感染している細菌の種類を素早く判断するため「質量分析装置」という装置を導入しています。また、細菌に感染した患者さんの治療に薬(抗生物質)が使用されますが、細菌の種類によって薬が効かない場合や、効きにくい場合もあります。どんな薬が効くかを検査室で調べています(図2)。
国際標準化された超音波検査(心臓、腹部、血管)
超音波検査は、体を直接検査する「生理検査」に分類されます。「超音波検査」は侵襲(しんしゅう)(痛み)なく体の内部を調べることができます。超音波センターには、検査を行える部屋が18部屋用意されており、心臓、腹部、腎臓(じんぞう)、血管など、それぞれの目的に合わせて対応しています。
近年、超音波検査の機械と技術は飛躍的に進歩しており、私たちの施設でも最新の装置と技術を導入し、診療に貢献できるように取り組んでいます。超音波センターも国際的に認められた手順で検査を行っています。各分野の学会の認定を受けた専門家が多数在籍し、検査を実施しています。
腹部超音波検査
腹部の超音波検査では、肝臓、膵臓(すいぞう)、胆管など、お腹(なか)の中を詳しく調べます。体の表面から超音波をあて、肝臓に悪い病気があるか、脂肪がついているかなどを調べます。さらに造影剤を用いて、より詳しく調べることができます。最近では、超音波で肝臓の硬さも調べています。もちろん腎臓に石があるか否かも調べています。
血管超音波検査
血管の検査にも超音波を使います。血管には「静脈」と「動脈」があり、そのどちらも調べます。足の血管の検査では、血管の中に血の固まり(血栓)があるか、また、血管が細くなって血液の流れが悪くなっているかを調べます。首の血管(頸動脈(けいどうみゃく))も血液が流れにくい場所があるかを詳しく調べます。
国際標準化された生理機能検査(心電図、肺機能、脳波)
生理機能検査は、心臓、呼吸と脳・神経の分野に分けられます。他の検査と同様、国際的に認められた手順で検査を行っています。また、各分野の学会の認定を受けた専門家が多数在籍し、検査を実施しています。
心電図検査
心電図は安静時だけでなく、運動中の変化を調べることにより狭心症(きょうしんしょう)を診断します。24時間すべての心臓の動きを調べる検査(ホルター心電図検査)で、脈の乱れ(不整脈)を調べます。
肺機能検査
喘息(ぜんそく)や肺気腫(はいきしゅ)といった病気に対して肺機能検査を行います。肺機能検査では、肺の大きさ、空気の通りやすさや、肺が固くなっているかを調べます。また、手術を受ける前に、肺が手術に耐えることができるかを調べます。
脳波検査
脳が活動すると、とてもわずかですが脳の中で電気が流れます。その電気の変化を調べるのが脳波検査です。とてもわずかな電気的な変化を調べるので、検査を行う部屋は外部からの電気的な影響を受けない専用の部屋で行います。検査中は、安静時の脳波だけでなく、目の前で光の刺激を与えたり、深呼吸を繰り返し行ったり、また音などの刺激によって脳波がどのように変化するのかを調べます。
更新:2024.08.22