COVID-19から地域や患者さんを守る検査体制

山梨大学医学部附属病院

検査部、 臨床検査医学

山梨県中央市下河東

COVID-19の発生と検査体制

2019年12月に、新型コロナウイルスによる肺炎(新型コロナウイルス感染症、COVID-19)が報告され、全世界に広がりました。2020年1月末、本学島田学長の指揮のもと、当院は山梨県の医療の砦として、患者さんの受け入れや、地域の感染拡大に備えて院内の体制整備を開始しました。

当時、各病院が自施設で新型コロナ感染症検査を行わずに、集約するのがよいという考えもありましたが、当院検査部では自施設で行うことにしました。当検査部は、信頼できる検査室の国際的な証である、ISO15189認証検査室です。その威信をかけて検証を繰り返し、2020年2月28日に院内最初のPCR検査が可能となりました。

新型コロナウイルス検査の種類

新型コロナウイルスは、設計図に当たるRNA(核酸)と、それを補強するNタンパクが、脂質(油)の膜で包まれています。その中に、感染の足場となるSタンパクや、Eタンパクがあります(図)。

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図 新型コロナウイルスの構造

PCR検査(核酸をとらえる)

ウイルスの設計図である核酸の中から、新型コロナウイルスに特有の一部の配列を増やす検査で、増えなければ陰性です。鋭敏ですが、通常は2時間ほどかかります。

抗原検査(タンパクをとらえる)

N/Sタンパクをとらえる検査で、PCRより鋭敏ではありませんが、結果が早く出ます。特に、イムノクロマト法という簡易キットでは、10分程で結果がわかります。

抗体検査(ウイルス成分に対する体の反応をとらえる)

ウイルスやワクチンに反応して体内で産生される、血中の抗体を測定します。現在の感染は判別不能ですが、過去の感染やワクチンの効果がわかります。

検査部での検査体制

患者さんを守るPCR(写真1)

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写真1 通常PCR検査装置
一度に約90検体検査可能。3台体制で臨みます
診療のPCR:
夜間・休日や緊急時は、高感度迅速PCR検査装置(写真2)で検査します。
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写真2 高感度迅速
PCR検査装置 一度に4検体検査可能、1時間で報告できます
入院前PCR:
入院当日に、迅速抗原定性検査を確認してから病棟へ。さらにPCRでチェックします。

職員や臨床実習学生へのPCR

月1回の定期的なPCR検査に加え、流行地への移動時などに臨時検査(抗原定性検査陰性確認後に勤務開始、さらにPCRでチェック)を行います。

地域の方々を守るPCR

車に乗ったまま行う、ドライブスルーPCR検査を行います。濃厚接触者が多数の際に、地域の保健所に協力します。

更新:2024.04.26