ゲーム障害
肥前精神医療センター
精神科
佐賀県神埼郡吉野ヶ里町三津

どんな病気?
物質に対して依存が生じるように行動に対しても依存(嗜癖(しへき))が生じます。その行動嗜癖の一つとしてゲーム障害があり、2019年からは国際疾病分類にも採用されました。
新しい分類であるため専門家間でも診断に対してはさまざまな意見があり、まだ確立された治療法があるわけでもありません。しかし、デジタルゲームへの没頭が子どもさんを中心に大きな問題となっているのは事実です。
そこで医療の現場では、ゲームへの没頭が生活のしづらさとどのように関連しているか背景を探り、患者さんや家族をさまざまな面からサポートしていくようにします。
症状
依存症状のほか、身体症状や生活への影響が問題に
ゲーム障害も(他の依存症と同様に)渇望や耐性、禁断症状、再発といった依存症状があるとされます。また、その他以下のような身体症状や生活への影響が現れ、問題となります。
- 生活リズム障害: 昼夜逆転、遅刻・欠席、ひきこもり
- 睡眠障害: 朝起きられないなど
- 身体・栄養面: 十分な食事を摂らない、体力低下、頭痛、眼精疲労
- 心理・行動面: 暴言・暴力・物に当たる、高額な課金 など
検査・診断
ゲームへの没頭と生活や健康への支障があるかを確認
世界保健機構(WHO)の国際疾病分類(ICD-11)では、以下の項目を満たす場合に診断されます。
- 特徴:
- ゲームの使用時間など、行動をコントロールできない
他の生活上の関心事や日常の活動よりゲームの優先順位が高い
問題が起きているにも関わらず、ゲームを続けたり、より多くゲームをする - 程度:
- 個人、家族、社会、教育、職業や他の重要な機能分野において著しい障害を引き起こしている
- 期間:
- 上記が通常12ヵ月以上続く場合に診断する。ただし、重症の場合はそれより短期間でも診断可能
治療と経過
背景にある悪循環を見出し、できることからアプローチ
診断基準をみると分かるように、ゲーム障害の診断に当てはまる方(つけようとすれば診断自体はつく方)は多いものと思われます。ただし、ゲーム障害については、まだ確実に分かっていることが少なく、診断がついたからと言って確立された治療法があるわけでないということに留意が必要です。
ゲームのことが問題になるとき、背景にさまざまな問題が重なり、悪循環になっている場合がほとんどです(図)。

ですから、治療としてはゲームにだけ焦点を当てるのではなく、下記のような方針・目標を据えて、できるところから早めにアプローチすることが大切です。
- 基本的な方針・目標:
-
- 睡眠や食事など健康上の問題が改善されること
- 周囲との対人関係が改善されること
- ゲーム以外の楽しめる活動(特に身体活動)を取り入れられるようになること
- ゲームの使用が以前よりコントロールできるようになること
- 背景にある生きづらさが軽減されること
- 日常のさまざまな困難に対し、柔軟に対応する力が育まれることなど
- アプローチ例:
-
- 合併している精神疾患の対応を行う
- 親子で会話する時間を増やす
- 行動記録をとり、一緒にルールをつくる
- 家族会などへの参加
- 入院やキャンプへの参加 など
- 当院入院プログラムの内容:
-
- テキスト学習
- 生活リズムの調整(睡眠負債の解消)
- 身体活動
- 栄養指導
- 心理検査、対人交流の練習
- 家族面談、退院後のルール作り
- 訪問教育、登校練習、放課後デイ通所練習、外出練習 など
よくある質問
子どもがゲーム障害になるのを予防する方法はありますか?
残念ながら治療法と同様、確立された予防法もありません。単純にゲームを取り上げたり、一方的に時間を制限するだけで解決するということでもありません。その時はよくても後々、より重症化するなど問題を先送りにするだけかもしれないのです。
ゲームへの没頭が懸念される時こそ、一緒にゲームをやってみてその魅力を味わったり、家族皆がスマホやゲームを触らない時間を設けたり、互いに納得できるルールを考えたり、機嫌よく終わらせられるやり方を一緒に模索するチャンスです。少なくとも、ゲームをする・させないの二項対立ではなく、ゲーム使用について一緒に考え工夫していく双方の体験が重要です。
症状をCHECK
※症状は人によりさまざま。ゲーム障害の兆候
- □ ゲームをする時間がかなり長くなった
- □ 夜中までゲームを続ける
- □ 朝起きられない
- □ 絶えずゲームのことを気にしている
- □ ほかのことに興味を示さない
- □ ゲームのことを注意すると激しく怒る
- □ ゲームの使用時間や内容について嘘をつく
- □ ゲームへの課金が多い
あわせて読みたい記事
更新:2026.08.14

