たはつせいこつずいしゅ

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫血液のがんに含まれます。

概要

多発性骨髄腫(こつずいしゅ)は、白血球の一種である形質細胞が、がん化する血液のがんです。この病気は、脊椎(せきつい)、肋骨(ろっこつ)、腸骨(ちょうこつ)などの骨の中(骨髄)を好んで広がり、Mタンパクと呼ばれる異常タンパクが多量に産み出されます。多発性骨髄腫は高齢者に多い悪性腫瘍で、高齢化とともに患者数は増える傾向にあります。

症状

多発性骨髄腫になると、造血が低下し貧血が進行します。次第に骨が溶かされ、骨痛や骨折が起きます。また、多量に産み出されたMタンパクが腎臓に沈着することで腎障害が起きます。その他、腰や背中の痛み、倦怠感(けんたいかん)や動悸、息切れがよくみられる症状です。無症状で検診で発見されるケースもあります。

図
図:骨髄腫の症状

検査・診断

多発性骨髄腫の診断には、いくつかの検査を行います。

骨髄検査

骨髄から骨髄液を採取して形質細胞の割合を調べます。

血液検査・尿検査

血液や尿のMタンパクの存在を調べます。

X線検査、CT、MRI

脊椎の圧迫骨折などの骨折変がないか全身の骨を調べます。

治療

治療は大きく分けて、「骨病変や血球減少などによる症状を緩和するための治療」と「抗がん剤による治療」の2つがあります。

骨病変や血球減少などによる症状を緩和するための治療

苦痛を取り除き生活の質を改善するための治療で、根本的治療ではありません。骨病変に対する薬物療法、骨の痛みに対する対策(鎮痛剤、放射線療法)や、貧血に対する輸血療法などを行います。

抗がん剤による治療

形質細胞(Mタンパクを産み出している細胞)に対する抗がん剤治療です。ボルテゾミブ、レナリドミド、サリドマイドなどの抗がん剤の登場により、治療成績は大幅に改善しています。また、65歳以下で心臓や肺などの臓器機能が保たれていれば、自家末梢血幹細胞移植が行われます。

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図2:多発性骨髄腫の治癒方針

更新:2022.08.22