白血病のスペシャリストによる最高・最新の治療

福井大学医学部附属病院

血液・腫瘍内科

福井県吉田郡永平寺町

白血病とは

白血病は血液細胞である白血球ががん化した血液がんです。急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病に4大別されます。白血病細胞(がん細胞)は骨髄で増え、循環血液中に入り全身に回ります。

白血病の治療

白血病は抗がん薬(化学療法)により治療がなされます。国内では当科も含めて白血病の専門家が集まり、共通の治療法を用いて治療成績を向上させる努力をしています。福井大学病院血液・腫瘍内科長は、再発・難治急性骨髄性白血病を主に務めています。また血液がん診療ガイドライン作成委員として白血病を担当しています。新治療の開発と標準治療の底上げにより、最高・最新の白血病治療を行う努力をしています(図)。

図
図 血液・腫瘍内科の白血病治療への取り組み

急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病

造血の場である骨髄で白血病細胞(がん細胞)が増殖し、正常の血液を造ることができなくなります。発症は急で、治療が行われない場合、命を落とす危険性がきわめて高くなります。発症時体内に1kgの白血病細胞(がん細胞)が存在します。抗がん薬によりまず細胞を100分の1~1000分の1に減じます(寛解導入療法)。これにより骨髄で白血病細胞が減少し正常な血液細胞を造ることができるようになります(完全寛解)。引き続き抗がん薬治療を繰り返して白血病細胞をさらに減らし再発しないようにします(地固め療法、通常3~5回)。

急性リンパ性白血病では、その後も外来で1~2年間弱い抗がん薬を続けます(維持療法)。特殊なタイプではビタミンA、ヒ素、分子標的薬を併用します。必要に応じて造血幹細胞移植が行われます。

ここが最高――白血病治療のスペシャリスト

私たちは抗がん薬研究を専門とする全国でもまれな内科です。血液内科専門医・指導医・評議員、がん薬物療法専門医・指導医・協議員を擁しています。抗がん薬治療(化学療法)のプロフェッショナルであり、白血病治療のスペシャリストとして、最高の白血病治療を目指しています。更に当科は福井県唯一の内科骨髄移植認定施設として年間15~18例の移植を行っています。

治療の副作用

抗がん薬投与により正常血液(白血球、赤血球、血小板)が激減します。特に問題となるのが白血球減少による感染症の合併です。白血球が回復するまでは無菌室に入室いただきます。

ここが安全・安心――新病棟に17床の無菌個室と移植療法

2014年9月に福井大学附属病院新病棟が完成しました(写真)。血液・腫瘍内科は北7階病棟の無菌エリア内に17床の無菌個室を有しています。2床はクラス100で造血幹細胞移植を行うことができます。残りの15床はクラス1000でさまざまな化学療法に対応いたします。さらにクラス10000の準無菌室(4人部屋)を2室有しています。移植認定内科施設として適切な患者さんに移植を行っています。

(※クラスとは無菌室内のきれいさの尺度です)

写真
写真 北7階病棟 無菌エリア

慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病は、骨髄・末梢血で白血球を主体とする血液細胞が増加する血液がんで、数年の慢性期から、病勢が増す移行期を経て、最終的に急性白血病へと進展し、危険な状況に陥ります。2001年に分子標的薬イマチニブが登場し、その後もさまざまな薬剤が開発されました。病気の特性や患者さんの全身状態から、これらの分子標的薬を使い分けて治療することで、現在、慢性期にある患者さんのほとんどで病気が進行することはありません。

ここが最先端――臨床試験を実施

慢性骨髄性白血病では分子標的薬で十分な効果が得られた場合、治療を止めることができるかを臨床試験として検討しています。ただし、あくまでも臨床試験であり、一般的には治療を続けることが大原則です。

骨髄異形成症候群

骨髄異形成症候群は、血液の元となる造血幹細胞の異常により、正常な血液を造ることができなくなる血液がんです。病気が進行すると急性白血病に進展します。リスクの高いタイプには、造血幹細胞移植や脱メチル化薬アザシチジン療法が行われます。当科ではアザシチジンの最適な投与法を検討しています。

ここが最新――多様な治験を実施

現在、福井大学病院血液・腫瘍内科では数多くの治験を行っています(表)。治験とは、まだ薬として認可されていない「薬の候補」を用いる治療をいいます。保険で認められた薬剤で十分な効果が得られなかった患者さんにとっては、大きな福音であると考えます。

急性白血病に対して
・二重特異性抗体
・メニン阻害薬
・新規脱メチル化薬(経口)
・RNA阻害薬
骨髄異形成症候群に対して
・BCL-2阻害薬
・抗C47抗体

表 福井大学病院で現在行っている治験

更新:2024.01.25