白血病
概要
白血病は、骨の内側にある骨髄内で血球(白血球、赤血球、血小板)が作られる過程の細胞が何らかの原因でがん化し、異常な造血細胞(白血病細胞)が増殖する疾患です。
細胞の種類により「骨髄性」と「リンパ性」に分類されます。
また、白血病には「急性」と「慢性」があり、白血病細胞が分化障害を持ち、分化途中の幼若(ようじゃく)な白血病細胞が異常に増加する場合が「急性白血病」、分化障害がなく成熟血球が増加する場合を「慢性白血病」と言い、一般的な疾患の「急性」「慢性」とは意味が異なります。
ここでは、急性白血病について説明します。
症状
正常な白血球、赤血球、血小板が減ることにより、さまざまな症状が現れます。
- 赤血球の減少→息切れ、動悸(どうき)などの貧血症状
- 血小板の減少→さまざまな出血症状
- 正常な白血球の減少→感染、発熱など
また、白血病細胞が肝臓や脾臓(ひぞう)に浸潤(しんじゅん)(体の組織内で増大して次第に広まっていくこと)して腫大(しゅだい)するもあります。まれに歯肉、中枢神経、皮膚、リンパ節などにも浸潤し、歯肉が腫(は)れ、歯科を受診した際に診断されることもあります。感染症や出血症状はしばしば重症化し、適切な治療が行われない場合は短期間で致死的となるため、早期に診断し、治療を開始する必要があります。
治療
寛解(かんかい)導入療法
数種類の抗がん剤を組み合わせた寛解導入療法を行い正常の造血を回復させます。白血病細胞が減少し、正常造血が回復するまでに4週間前後かかり、この間は強い免疫低下状態になり、細菌や真菌による感染症をきたすリスクが高まるため、抗菌剤を投与します。また、必要に応じ、赤血球や血小板の輸血を行います。
地固め療法
寛解導入療法で寛解(病気の症状が一時的、あるいは継続的に軽減した状態)となっても、微量の白血病細胞が体内に残ります。これらの白血病細胞をさらに減らし、治すために、地固め療法という抗がん剤治療を3~4コース行います。
造血幹細胞移植
白血病細胞を大量の抗がん剤や放射線治療で死滅させた後、正常な造血幹細胞を輸注するのが造血幹細胞移植です。再発した場合や、予後不良の白血病と判断された場合に、造血幹細胞移植を検討します。本人の造血幹細胞(あらかじめ保存していたもの)を使う方法を自家移植、健常ドナーから提供された造血幹細胞を使う方法を同種移植と呼び、白血病の場合には、主に同種移植が行われます。
ドナーと患者は、HLAと呼ばれる白血球の型が一致していることが条件です。HLAは両親から半分ずつ遺伝的に受け継ぐため、兄弟姉妹では4分の1の確率で一致します。非血縁者間で一致する確率は数百~数万分の1といわれています。造血幹細胞移植後3~4週間ほどで血球が回復(生着)しますが、その間は無菌室に入室します。
更新:2022.08.18