救急受診の注意点について

済生会吹田病院

救急科

大阪府吹田市川園町

上手に救急室を利用しよう

夜間や休日に具合が悪くなって、どうしたらいいのか困ることは誰でも経験することです。我慢して翌日まで様子をみるべきか、救急受診すべきか、あるいは救急車を呼ぶべきか。

心疾患や脳卒中、急性腹症などを疑わせる症状などは、経過をみると「手遅れ」となってしまう可能性が十分にあります。一方、症状によっては、救急受診して担当医の応急処置を受けるよりも、日中に専門医の診察をしっかり受ける方がいいこともあります。一人暮らしで相談する相手もおらず、どうしたらいいか分からない場合も多々あります。具合が悪いときにどうしたらいいのか、救急室を上手に利用する方法を知りましょう。

まずは連絡してみる

家の近くのかかりつけ医にまずは電話で相談するのがベストです。しかし、夜の遅い時間や昼間でも午前診と午後診の間の時間帯では、電話がつながらないことがほとんどです。各地の救急隊や市や区、町などの行政組織で医療相談電話を設置している場合もあり、そちらに相談してもいいかもしれません。

当院の近隣にお住まいの方は、当院に(かかりつけであろうとなかろうと)、まずは電話で相談してください。救急のスタッフに症状を詳しく訴えてください。どのような具合なのか、いつから始まったのか、今も続いているのか、普段かかりつけの診療所や病院についても伝えてください。救急受診が必要と判断したら、当院から受診をお勧めします。来院されるまでの間に、診療準備を整えることが必要な場合もありますので、来院の方法と到着時間の目安をお聞きします。場合によっては救急車を呼ぶよう指示させていただきます。

病院に受診相談する余裕もない「せっぱつまった状況」では、119番に連絡し救急隊を呼びましょう。到着した救急隊員が状態を確認した上で、病状にあった病院への搬送を手配します。当院かかりつけの場合には、まずは当院に連絡が入ります。当院近隣の場合も同様です。

連絡なしに直接救急室に来られた場合、重症患者が立て込んでいると診察までに長時間待つこともあり、まずは連絡することが大事です。

救急車を上手に使おう

救急車を呼んですぐに病院に連れて行ってもらうべきなのに、近所の目を気にして救急要請しない方、タクシーや電車利用での病院受診で問題ないのに救急車を呼んでしまう方など、さまざまな患者さんがいます。でも、自分が重傷で一刻を争う状況なのに救急車が出払っていて、病院への到着が遅れてしまったらどうでしょうか。やはり、救急車は適正に利用する必要があり、どうしたらよいか悩んだときには、病院に電話で相談し指示を得ましょう。受診手段についてもスタッフからアドバイスさせていただきます。

心疾患や脳卒中(脳梗塞(のうこうそく)、脳出血、くも膜下出血)では受診をためらうべきではありません。特に狭心症(きょうしんしょう)や脳梗塞起急性期は発症から可能な限り早く治療を開始することで「心筋梗塞(しんきんこうそく)や完全な脳梗塞に陥ってしまう(心筋細胞や脳細胞が死んでしまう)ことを防ぐ」ことにつながります。後遺症なく回復する可能性があるわけです。必要時はためらわない、一方でタクシー代わりには使わないことが大事です。

当院救急センターの診療方針について

当院では、次のことを大原則として救急センターを運営しています。

  • かかりつけ患者さんからの救急受診をことわらない(専門診療を受ける方がいい場合にはそのように指導します)
  • 地域の医療機関からの診療要請をことわらない(かかりつけの開業医さんからの緊急対応依頼に対して受け入れる)
  • 救急隊からの搬送依頼をことわらない

病状次第では他院への搬送が望ましい場合もありますが、32診療科があり、ほとんどの疾患に対応可能です。

ただし夜間外来ではありません。「仕事があって昼間受診できないから救急室に来ました」というのは、本当に救急対応が必要な方への十分な手当の妨げとなるため、このようなことは控えるようお願いします。診療の結果、入院の必要はなく経過観察でよいと判断した場合には、内服処方は原則1日分しか出していません。救急センターでの加療はあくまで応急対応で、その後については日中の専門診療を受けていただくようにお願いしています。

また、交通事故などでは後日、専門医が専門外来での診療後に診断書を作成することが多く、当院では救急室受診時には診断書を作成していません。診断書がほしくて受診したいという方は、結局2回の受診が必要となってしまいます。痛みがひどい場合は救急受診をためらう必要はありませんが、症状はないが診察と診断書だけを希望する場合には最初から翌朝の専門外来を受診する方が手間を省けます。

いろいろ述べましたが、結局どうしたらいいのかよく分からない場合は、病院(や救急隊)に電話で相談してみましょう。

更新:2022.03.08