チーム医療で脳卒中治療開始までの時間短縮を!藤田医科大学の試み

藤田医科大学病院

脳卒中科

愛知県豊明市沓掛町町田楽ヶ窪

脳卒中に関する皆さんに知っていただきたい3つの大切なポイント

脳卒中に関する3つの大切なポイントを知っていただき、まずは、脳卒中にならないようにし、それでも、脳卒中になったかな、と思うときには、すぐに救急車を呼んでください。

  • 生活習慣病や不整脈を見つけ、適切な治療を受ければ、多くの脳卒中は予防可能。
  • 脳卒中になった場合、早期に治療を受けるほど、後遺症が軽くすむ。
  • 脳卒中を疑う3つのサイン(急に片方の顔が麻痺(まひ)する、急に片方の手が麻痺する、急にしゃべりにくくなる)を知りましょう。

1つでも急に出現すれば、すぐ救急車を呼んでください。

脳卒中になったときに、早く救急車を呼ばないといけない理由!

脳卒中の約7〜8割を占める脳梗塞(のうこうそく)は、脳の血管が詰まることで細胞が傷つき、言語障害や麻痺などが出現する疾患です。治療が遅れるごとに脳梗塞後に1人で歩行できる可能性が減少していきますので、1分1秒でも早く治療を行うことが必要です。現在、脳梗塞の治療において有効性が証明されているのは以下の2つですが、いずれも治療開始が早ければ早いほど後遺症が軽くすむ確率が上がります。

  • 点滴による経静脈的血栓溶解療法
  • カテーテルを用いた血栓回収療法

脳卒中を疑う3つのサイン(急に片方の顔が麻痺する、急に片方の手が麻痺する、急にしゃべりにくくなる)の1つでも急に出現すれば、すぐ救急車を呼んでください。

チーム医療の情報共有を、ICTを利用することで、治療までの時間短縮を図る

藤田医科大学病院は、救急搬送される脳卒中患者の早期診断、早期治療を実現するため、ICT(情報通信技術)を用いて院内多部署での情報伝達効率化を図る脳卒中急性期診療支援システム「Task Calc. Stroke」を導入しています。本システムは、藤田医科大学、産業技術大学、九州大学、小倉記念病院で共同開発したものです。

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写真:Task Calc. Strokeを用いた診療シミュレーション

「Task Calc. Stroke」の画面を示します(図1)。脳卒中の治療は、院内の実に多くの部門のスタッフが同時並行的に動く必要があります。救急搬送の入電があると、ER(救命救急センター)の医師と脳卒中専門医が適応を判断し、システムを発動します。

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図1:Task Calc. Strokeの画面

中央のマスには救急隊到着までの予定時間、到着後は治療開始までの目標時間と病院到着からの経過時間を併記します。それを囲むように検査名や部署名がハチの巣状に並び、各部署における進捗状況が、「準備完了」「検査中」「医師判断待ち」「処理中」「確認待ち」「終了」「不要」などと、文字と色でリアルタイムに示されるようになっています。

医師だけでなく、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、薬剤師ら、それぞれが刻一刻と変わる情報を「多」対「多」で共有することで、診察・検査・説明等の並行処理ができ、早期診断・治療開始が可能となります。Task Calc. Stroke導入後6か月で、脳卒中患者さんが当院に搬送されてから経静脈的血栓溶解療法を開始するまでの時間が、平均で62分かかっていたものが、33分に大幅に短縮されました(図2)。

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図2:来院から経静脈的血栓溶解療法開始までの時間(時間内)

藤田医大から全国の脳卒中医療に向けた提言

当院では、患者さんが病院到着から30分以内に点滴による経静脈的血栓溶解療法を行うこと、60分以内にカテーテルを用いた血栓回収療法を行うことを目標にしています。今後、「Task Calc. Stroke」を全国の病院に普及することで、藤田医科大学だけではなく、全国の少しでも多くの脳卒中患者さんを救うことを目指しています。

更新:2024.10.09

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