持続血糖測定(CGM)による最適な糖尿病管理-糖尿病

富山大学附属病院

代謝・内分泌内科

富山県富山市杉谷

CGM(持続血糖測定)外来では何ができますか?

CGM(シージーエム)とは、Continuous Glucose Monitoringつまり、持続血糖測定の略称で、数日間継続して血糖値を測定することです。血糖測定は普通、自己血糖測定器という機器を用いて、食前、食後、就寝前などに自分で指先などを穿刺(せんし)して測定します。この場合、血糖値は測定したときの値しか分からず、測定間の血糖の変動は不明でしたが、お腹(なか)や腕などに専用のセンサー(電極)を装着し約14日間連続した血糖変動を測定・記録する機器が登場しています。

このセンサーは皮下間質液中のブドウ糖濃度を持続的に測定し、昼夜を問わず血糖の変動を5分ごとに集計し記録します。一定期間使用後にセンサーを取り外し、専用のソフトを使用し結果を出力します。この方法によりHbA1c(1~2か月前の血糖の平均値を表す数値)や自己血糖測定では分からなかった高血糖や低血糖、血糖の変動幅などが分かるようになりました。医師だけでなく患者さん自身も自分の血糖の変動を見ることができ、納得された上で治療を受けることができます。

当院ではセンサーの装着中は、食事や運動など、自分の活動を用紙に記載していただきます。センサーのデータが出たときに記録用紙と照らし合わせ、薬剤の影響や食事、運動の効果などを実際に比較し、低血糖や高血糖を確認し、一人ひとりに合った治療法を実践できることが大きな特徴です。

現在、この方法は数種類あり、自己血糖測定により較正を必要とする機器と、必要のないものがあります。そしてそれぞれ特徴があり、その人に合った検査方法を選択します。

CGM外来の手続き方法を教えてください

当院に通院されている患者さんは主治医に申し出てください。

他院に通院中の患者さんであっても、治療内容等が記載された紹介状があれば、当院での受診が初めての方でも、医療福祉サポートセンター内の地域医療連携室を通して予約を取ることができます。

但し、保険適用については条件があることをご理解ください。

  1. かかりつけ医の紹介状を持ち、病院へ予約(地域連携室により予約)
  2. 来院時にセンサーを装着
  3. 約14日間、装着(期間中、食事、活動内容などを記録)
  4. センサーを取り外して来院

CGM外来は今後どのように発展していきますか?

持続血糖測定により得られたデータによって、実際には分かりづらかった運動療法、食事療法の効果や、使用する薬の効果を主治医、患者さんが視覚的に捉えることができ、お互いに納得してよりきめ細やかな治療、血糖変動の正常化を目指すことができます。

また、センサーにリーダーをかざすだけで皮下のブドウ糖濃度を示すことのできるFGM: Flash Glucose Monitoringが話題になっています。この機器は、①2週間測定できること、②自己血糖測定による補正が不要であること(血糖測定がいらない)、③センサーにレシーバをかざすと血糖の変動が分かること、などがこれまで広く使われてきた機器より進化した点です。さらに2019年にはリアルタイムCGMが登場し(写真)、①自らセンサーにかざすなどを行わなくても血糖変動を表示し、高血糖時や低血糖時(血糖が55㎎/dl以下になった際にアラームが鳴る)にお知らせする機能、②自己血糖測定による補正は必要ですが、低血糖域での血糖変動をより正確に表示できる機能が進化している機器が登場しています。

写真
写真 較正は必要ですがより低い血糖まで正確に解析することができます
イラスト
図1 血糖のデータがセンサーに蓄積され、受診時にリーダーをかざしデータを解析します
グラフ
図2 リブレプロのレポート目標範囲に入っているか、高血糖、低血糖になっているのは、どんなときなのかを解析します

このようなアラーム機能を有した機器を用いることで、自己血糖測定を使用している方と比較して、平均HbA1c、低血糖時間、高血糖時間が改善したとの報告もあります。

自己血糖測定を使用したことのない糖尿病内服治療の方から、インスリン治療を受けている方までより一層幅広く、きめ細やかにご利用いただけるものと思います。ただし保険適用の基準についてはお問い合わせください。

1.CGM検査で約14日連続の血糖変動を測定できます。

2.患者さんが血糖変動を理解し、より良好な血糖コントロールを目指すことができます。

3.当院では一人ひとりの血糖変動を理解し、オーダーメイドの治療を心がけています。

更新:2022.03.16