AIDS(エイズ)の最新治療-AIDS(エイズ)

富山大学附属病院

感染症科

富山県富山市杉谷

HIVとエイズは違うのですか?

HIVはヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)のことです。このウイルスは人間の免疫力に重要なリンパ球(CD4陽性細胞)に感染し、破壊していきます。

エイズとは後天性免疫不全症候群(Acquired Immuno-Deficiency Syndrome)のことです。HIV感染症の中でも特に免疫力が低下した状態です。

HIVに感染すると、CD4陽性細胞が徐々に減って免疫力が低下します。そして普段は感染しないような病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症してしまいます。代表的な23の病気が決められており、HIV感染者がそれらの病気を発症した時点でエイズと診断されます。

グラフ
図1 2018年までのHIV感染者およびAIDS患者累積報告数
グラフ
図2 新規HIV感染者およびAIDS患者報告数の年次推移

HIVはどうやって感染するのですか?

HIVは感染した人の血液や精液、膣分泌物(ちつぶんぴつぶつ)、母乳などに存在します。粘膜同士の接触(性行為など)や授乳、注射針やピアスの使いまわしで感染する可能性があります。不特定多数の相手との性交渉は避け、コンドームを適切に使用することが重要です。歯ブラシやカミソリの共有も止めましょう。HIV以外にも、血液を介して感染するウイルスはほかにもあります。自分以外の血液を取り扱うときは十分に注意しましょう。

唾液や汗、痰(たん)、尿、便に基本的にはウイルスはいませんので、日常生活や軽いキス、介護などで感染することはありません。しかし口内炎があるときは出血の危険がありますので、ディープキスやオーラルセックスで感染する可能性があります。

「HIV感染者は子どもをつくることができない」と考えている方がいらっしゃると思いますが、医師と相談しながら計画的に妊娠・出産することも可能です。きちんと薬を飲んでウイルスの量を抑える、帝王切開で出産する、授乳しないなど、注意する点はありますが、子どもへの感染をほぼゼロにすることができます。

また、過去に薬害エイズ事件という出来事がありました。血液製剤という薬は、ヒトの血液を材料に製造されていますが、残念なことに過去に販売されていた血液製剤の中には、薬の中にHIVが混入したまま患者さんへ使用されたものもありました。そのことが原因で、多くのHIV感染者・エイズ患者を生み出してしまいました。現在の血液製剤は、安全性が確立された状態で販売しています。

エイズは不治の病と聞きましたが、感染すると死んでしまうのですか?

エイズという病気が発見された頃は有効な治療法がなく、残念ながら亡くなってしまう方がたくさんおられました。

現在はHIVに対する新しい薬がどんどん開発されており、エイズを発症する前に免疫力の低下を防ぐことが可能です。またエイズを発症してしまった方でも、HIVの薬を開始すればある程度免疫力が回復します。毎日薬を飲み忘れなく、同じ時間にしっかりと服用することが重要です。薬を飲みながら通常通りに仕事や趣味を楽しむことができ、70歳代、80歳代でも普通に生活している方がいらっしゃいます。

エイズが原因で亡くなる方は少なくなりましたが、HIV感染者も徐々に高齢化してきており、がんや脳梗塞(のうこうそく)、心筋梗塞(しんきんこうそく)、肺炎などの一般的な感染症、糖尿病などの合併に注意が必要です。

富山大学附属病院は、富山県内のエイズ治療拠点病院の1つです。HIV感染症以外の合併疾患のある患者さんに関しても、それぞれの専門家と連携しながら治療行っています。

HIVやエイズにはどんな治療がありますか?

HIV感染症には飲み薬で治療を行っています。複数の種類の抗ウイルス薬を組み合わせて内服が必要です。過去には1日に飲む錠剤が10粒以上になることもありました。当時は飲むタイミングも細かく決められており、患者さんにとって大変な治療でした。現在は複数種類の薬が1粒に含まれており、その1粒だけで治療ができるようになりました。注射薬での治療についても開発が進められており、治療の選択肢が広がっていくと予想されます。

エイズに対しては、発症した感染症に合わせて治療を行っていきます。細菌やウイルス、カビなど、さまざまな微生物が原因となるので、適切に診断し、微生物に合わせた治療を行うことが重要です。特殊な検査が必要となることがありますので、専門医の受診をお勧めします。

・当院の感染症科では、HIV感染症・エイズの診療を行っています。

・一人ひとりが気をつけることで、HIVの感染を防ぐことができます。

・HIVに感染した後も、免疫力が下がらないように治療することが重要です。

・エイズを発症した後も、治療を始めることである程度免疫力の回復が期待できます。

更新:2022.08.10