腎移植ってどんなもの?

愛知医科大学病院

腎移植外科

愛知県長久手市岩作雁又

腎移植って何ですか?

腎臓の機能が低下し大体15%以下になってきた場合、その働きを肩代わりするために腎代替療法が必要となります。腎代替療法には、①透析療法、②腎移植の2つの方法があります。

腎移植とは、腎臓が働かなくなった人のために新しい腎臓を移植する治療法です。新しい腎臓は、亡くなった方から提供していただく場合(献腎移植)と健康な方から提供していただく場合(生体腎移植)があります。腎移植を受ける方をレシピエント、腎提供を行う方をドナーといいます。

腎移植って誰でもできる?

レシピエントとして腎移植を受ける場合、全身麻酔での手術が可能でがんや感染症がなければ基本的に可能です。年齢の上限は一般的に70歳とされていますが、健康年齢で判断させていただくことがほとんどです。ドナーは、①自ら提供を希望されていること、②心身ともに健康であることが最低必要となります。また、日本移植学会の倫理指針では、親族(6親等以内の血族、3親等以内の姻族)からの提供に限るとされています。つまり、レシピエントとドナーが夫婦であっても移植は可能です。また、血液型が違っていても移植は可能です。

ドナー手術って?

ドナーの手術は、安全かつ、できるかぎり負担の少ない方法で行います。現在私たちは、腹腔鏡を利用して、できるかぎり傷口を小さく行っています(写真1)。手術後は約1週間で退院となりますが、その後も定期的に経過を診ます。

写真
写真1 提供腎は6~7cmの創(きず)で下腹部から取り出します

また、腎提供を行った場合、その術前検査費用・手術費用・入院費用は、一部を除いて基本的に公費で負担することになります。

レシピエント手術って?

レシピエントの手術は、ドナーの提供腎を骨盤内に移植することになります(写真2)。手術後は約2週間で退院できますが、その後も移植した腎臓を守るために、免疫抑制療法や腎臓を保護するための加療を続けて行くことになり、月1回程度の受診が必要です。

写真
写真2 新しい腎臓は、骨盤内に移植します。もともとの腎臓はそのままです

また、レシピエントの医療費は、健康保険や各種医療保障制度が利用できるので、自己負担額は低額(1万円程度のことが多い)で済みます。

国内の腎移植

現在国内では約140の腎移植可能な施設があり、年間約1600例の腎移植が行われています。しかし、透析療法を受けている人数が30万人以上であることを考えると、非常に少ない数です(図)。腎移植療法は確立された安全な治療法の一つであり、身近な治療法の一つです。腎移植に関心のある方は、ぜひ一度専門医へご相談ください。

グラフ
図 腎移植数の推移

腎移植のメリットについて

腎機能が低下した場合の治療法には、透析療法と腎移植があります。透析療法には血液透析と腹膜透析がありますが、いずれも時間的制約や食事摂取の制限が大きいこと、また腎臓の機能が完全に回復するわけではない、といったことが問題となります。腎移植では、腎臓の機能はほぼ完全に回復し、時間的制約・食事制限も比較的自由になります。

腎移植の生着率(移植した腎臓が機能している確率)は、生体腎移植では3年で95.2%、5年で91%、10年で74.6%となっています。

更新:2024.10.18

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