麻酔 安全な全身麻酔と術後鎮痛のための工夫

四国がんセンター

麻酔科

愛媛県松山市南梅本町甲

全身麻酔のリスクを最小限に抑える

当院では手術のほぼ全例が、がん切除を目的としています。つまり、がんの進展や合併症の有無によって患者さんの術前の状態が大きく異なるので、全身の術前評価をより詳しく行う必要があります。まず当科外来では、現在の症状に加えて、過去の病気や手術、現在服用している薬剤、家族の病歴、アレルギーの有無など基本的な情報をお聞きします。特に問題のない場合には、続けて麻酔の方法や合併症についての詳しい説明を行います。糖尿病や高血圧、心臓病など、持病をお持ちの方には、その病気の重症度をあらかじめ評価します。

しかし、当院は循環器科、脳神経外科などの診療科を併設していないため、がんの治療を当院で行いたいと希望する患者さんで、狭心症や脳卒中を発症するリスクが高い場合、どうしても総合病院(院内に全科がそろっている病院)での治療が安全と判断されることがあります。90%の患者さんは問題なく全身麻酔が行われますが、約10%の患者さんは当院ではできない精密検査が必要となり、さらに全体の約1%の患者さんは重症の心疾患が見つかり、総合病院へ紹介させていただいた上で治療を行うことになります。

「せっかくがんセンターで治療してもらえると思ったのに……」。そんなときによく言われる言葉です。それでも、最新・最良の医療とは、リスクを冒して挑戦するものではありません。現実的にあらゆるリスクを想定し、安全第一で治療することが重要です。

手術に関しても、がんの手術は良性疾患に比べて長時間の大きな手術が多いので、慎重に評価を行うことが大切です。手術前に外科の先生方ともよく相談し、あらゆる事態を想定しつつ全身麻酔を行い、術後も痛みがなく離床でき、無理なく元の生活に戻っていただけるように心がけています。

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写真1 スタッフと全身麻酔のシミュレーション
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写真2 麻酔科スタッフ

更新:2022.03.10