がんと共に生きる 患者・家族総合支援センターとがん相談支援センターについて
四国がんセンター
患者・家族総合支援センター 消化器内科
愛媛県松山市南梅本町甲
「がんと共に生きる」とはどういうこと?
「私は手術でがんが治ったのに、どうして共に生きるの?」「予防で薬を飲んでいるだけだから関係ないです」などの声が聞こえてきそうです。
がんの治療は、日々進歩して、生存率の向上を達成しています。診断能力の向上、手術手技の向上、新しい抗がん剤の開発など、目まぐるしいものがあります。その結果、がん全体の5年生存率は60%を超えています。そのため、患者さんや家族はがんの療養期間が長くなっています。
また、手術で病気が治癒しても、リンパ浮腫(ふしゅ)などの後遺症が残ったり、手術後に再発予防の薬を内服することがあります。治ったといっても、再発していないか、定期的な検査も必要です。つまり、一度、がんになれば、病院との縁が長く続きます。誰でもがんと長くつき合わなくてはなりませんので、「がんと共に生きる」という章を作りました。この章が長い療養生活の一助になれば幸いです。
患者・家族総合支援センター“暖だん”
当院には、患者さんや家族のサポートをする目的で、患者・家族総合支援センター〝暖だん〞があります。5年前に第2次愛媛県地域医療再生計画の1つとして、患者・家族総合支援センター整備事業の中で作られました。
愛称である〝暖だん〞は伊予の方言の「ありがとう」と「だんだん元気になる」という意味を込めて、地域の皆さんに名付けていただいたものです。その名の通り、〝暖だん〞は皆さんの「こんな場所があったらいいな」「こんなことをしてほしいな」という思いを受けて、「安らぎと憩いの場所」として活動しています。
〝暖だん〞の基本方針は次の3つです。
- がん患者さんやその家族の多様なニーズに応え、その人らしい生活ができるよう支援します。
- がん患者さんやその家族に対し、科学と信頼に基づいた情報提供を行います。
- がんになっても安心して地域で暮らせるよう、地域の医療・介護・福祉の人たちと切れ目のない連携をします。
がん相談支援部門、地域連携部門、患者・医療者支援部門の3部門で活動しています。各部門が、地域におけるすべてのがん患者さん・家族の安心のために貢献できるように努力しています。
〝暖だん〞の目指すところは、がんになっても安心して暮らしていける愛媛県の実現です。具体的には次の内容で活動しています。
- がん患者さん・家族、医療関係者が集える場の提供
- がん関連情報の集約と発信
- がんサロンの質の向上
- がん患者さんを家族に持つ子どもさん方の支援
- がんに関する就労支援
- がん患者さんの外見関連支援
- がん登録の支援
〝暖だん〞では月に十数件(2017年度、年間130件)の催しを行っています。利用者数は、月平均400人を超えています。がんの治療に関連した情報の収集、療養生活で役立つ知識の習得や体験などのセミナー、患者さんや家族の気持ちを語り合うがんサロン、外部協力による相談対応などを行っています。
さまざまな方法で、可能な限り、患者さんと家族のサポートをさせていただき、患者さんと家族が安心できるように努力しています。がんの療養中だけでなく、療養後も当院の〝暖だん〞を利用してください。休憩で利用してくださるのもよし、企画に参加してくださるのもよし、誰かと話をしてみたいときも利用可能です。気軽に利用してください。催しの詳細は「患者・家族総合支援センター」を参照ください。
2018年6月、〝暖だん〞は創立5周年となりました。これまでに〝暖だん〞は多くの方に利用していただき、たくさんの笑顔に出会いながら、成長してまいりました。イベント開催に協力いただいているボランティアや職員の皆さんには、スタッフ一同、心より感謝しています。
がん相談支援センターについて
がん相談支援センターは相談支援部門として活動しています。〝暖だん〞はがん相談の充実に努めています。がん相談は、時間内であれば、無料でいつでも相談することができます。対面相談と電話相談が可能で、当院を受診していない患者さんや家族も利用できます。しかし、患者さんや家族がご存じないことがいつも問題になります。相談できずに悩まれる患者さんや家族が少しでも減るように、広報活動に努めています。来院時、入院時には、がん相談支援センターがどこにあるか、必ず確認してください。そして、お声かけしてください。詳細は「がん相談支援センター」をご覧ください。
更新:2024.10.18