成人の発達障害

肥前精神医療センター

精神科

佐賀県神埼郡吉野ヶ里町三津

成人の発達障害

どんな病気?

発達障害の方には、幼い頃に診断される方の他にも、年を重ねて生活する上で難しさを感じ、そこで初めて受診し診断される方がいます。発達障害は一般的な「病気」と違い、脳の「特性」であり、その特性を強みとして人生が豊かになることもあります。しかし一方で、独特な物の見方やコミュニケーションの取り方、行動のしかたなどによって、人生のさまざまなステージで周囲とのズレを感じて苦しむこともあり、医療や福祉のサポートが必要になる場合があります。成人の発達障害として話題になりやすいものは「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動性障害(ADHD)」です。

症状

コミュニケーションが苦手仕事でミスや遅刻が多い

成人の発達障害は、「学校や職場などでうまく行かない」ということで受診につながることが多いです。うつ病や不眠といった他の症状で受診したら「実は不調の背景に発達障害があった」ということも多くあります。基本的な特性は児童のASDやADHDと同じです。ASDではコミュニケーションの苦手さや臨機応変な対応の苦手さなどが、ADHDでは不注意によるミスや時間通りに行動することの苦手さなどが、成人してからの苦労の原因となりやすいです。どうにかしようと頑張るうちに生活リズムが乱れて体の不調を感じることや、自分を責めたり周囲から責められたりするうちに気分の落ち込みやイライラを感じることもあります。また、成長する過程でうまく行かないことが重なり自信が持てなくなったことで、生まれ持った発達障害の特性以上にストレスに弱くなってしまっている場合もあります。上手に助けを求めるのが苦手な特性から、精神的にかなり辛くなってやっと受診に至ることもしばしばあります。

図
出典:『精神医学 』Vol.62. No.7 p955よりグラフ作成

検査・診断

問診、心理検査などをもとに診断

現在の困りごとの他に、幼い頃の家や学校での様子も聞きます。それにより、物事の捉え方や感じ方のパターン、言葉の受け取り方や伝え方、言葉以外のコミュニケーションの取り方、行動のパターンなどの特徴やその程度を把握します。また、心理検査でもそれらをより客観的に評価したり、自分の持っている力の中で何が得意で何が苦手かを分析したりします。

治療と経過

自分の特性を知り、得意を活かし苦手を補う

まずは自分の特性を把握します。心理検査結果の資料をもとに日々の生活を振り返りながら、自分ができる工夫や、周りの人にどのように理解して必要な配慮をしてもらうか検討することが治療の基本となります。ASDの方の工夫としては、「人との会話ですれ違いが生じる可能性に気づき、その場合は相談する」「一回の情報量を少なく、具体的に伝えてもらう」「曖昧な表現や複数の捉え方ができる表現は避けてもらう」「文字や図などで伝えてもらう」などがあります。また、接客業よりもパソコン作業などを正確にする方が得意、など本人の特性に合わせて仕事内容も検討できるかもしれません。刺激を減らして集中しやすい環境にするなどの工夫もあります。「小児期の自閉スペクトラム症の易刺激性(いしげきせい)(些細なことで不機嫌になる)」に対しては対症療法的に薬が使われることがありますが、ASDの症状そのものへ効く薬はありません。ただし、必要に応じて、睡眠や気分の症状を改善する薬を使うことはあります。ADHDの場合は、注意がそれやすいため「一回の情報量は少なく」「メモをとる」などの工夫や、最近は時間管理やタスク管理のアプリの活用が効果的です。またADHDには治療薬として承認されているものがあるため薬物療法を行う場合もあります。いずれの発達障害の場合も、必要に応じて就労支援や障害年金、障害手帳など福祉サービスの導入も行います。

よくある質問

発達障害は治りますか?

基本的な特性は生まれ持ったものであり、それによい悪いもないものです。なので、その特性自体が「治る」わけではありません。ただ、それによって困っていることがあるなら、原因を把握し、過ごしやすくなるために工夫するポイントを相談することはできます。

症状をCHECK
※症状は人によりさまざまです

ASD

  • □ 急な予定変更が苦手
  • □ こだわりが強い
  • □ マルチタスクが苦手
  • □ 曖昧な言い方をされて混乱する
  • □ 相手の意図がわからない
  • □ うまく自分の思いが伝わらない

ADHD

  • □ ケアレスミスが多い
  • □ 忘れっぽい
  • □ 気が散りやすい
  • □ 会話を途中で遮って自分の話をしてしまう
  • □ 落ち着きがない
  • □ 計画どおりに物事を進めるのが苦手

更新:2026.08.14