泌尿器科 尿路結石の痛み、発症の恐怖~最短1日で根本解決~
中部ろうさい病院
泌尿器科
愛知県名古屋市港区港明
のたうち回る痛み!?尿路結石とは
海水を干すと塩ができるように、尿成分が結晶化すると石ができます。これが尿路結石です。
尿路結石は知らぬ間に体内で出来上がり、ある日突然、尿管にハマって激痛を生じます(場所により腎結石(じんけっせき)、尿管結石、膀胱結石と呼び名が変わります)。その痛みは、心筋梗塞(しんきんこうそく)や痛風発作とともに俗に「世界3大激痛」と呼ばれるほど。お産なども激痛として有名ですが、それより強いといわれているのです。一方で、この痛みには波があり、痛くないときは痛くない。ですから、鎮痛剤で一時的に痛みが治まれば経過観察となることも多いのです。
石の大きさや位置によっては、自然に体外に出ることもあります。できればそれが最も楽なのですが、石が流れ出る途中でまた激痛を生じる場合もあり、患者さんは「またいつあの痛みが来るか」と、怯える日々を過ごすことになります。
当科では、その恐怖や不安も患者さんの苦痛と捉え、状況に応じた適切な選択肢を提示します。多くの病院は積極的に治療を行う場合でも週〜月単位で待ち時間がありますが、当科では要望に応じて発症当日〜翌日にも、緊急的に結石の治療を行える体制を敷いています。
診断と治療:自分で選ぶ治療法と時期
自然排石を待つ以外の積極的治療は、大きく分けて、①体外衝撃波結石破砕術(たいがいしょうげきはけっせきはさいじゅつ)(ESWL)、②経尿道的尿路結石除去術(TUL)、③経皮的結石破砕術(PNL)の3つです。
①は体外から衝撃波を当てて石を割る、②は尿の出口から細い内視鏡を入れて石を除去する、③は背中から腎臓に直接細い穴をあけ、内視鏡を入れて石を除去する手術です。体を切ることなく、割れたかけらも除去できる確実性から、設備と技術の整った専門病院では②が選択されることが多く、より重度のものは③が適応となります。
当院では、結石破砕に用いるレーザー機器や内視鏡(図2〜3)は高い水準の設備を取り揃え、③の手術に用いるクリアペトラという最新の器具も中部地方で他院に先駆けて導入しました。これら万全の体制を基に、患者さん一人ひとりの状況・希望に応じた治療の選択や、その時期を共に考えます。
石が出たら「はいサヨナラ」じゃダメ?
自然に体外へ出てくるにしろ、薬や手術などの治療で取り去ったにしろ、石がなくなればもう安心!元通りの日常が戻ってきます。ただし、そこには気がつきにくい落とし穴も…。実は尿路結石は、一度経験した方はその後も何度も再発してしまう可能性があるのです。
「何故あなたの体は石ができてしまったのか」に目を向けてみましょう。まずは、毎日十分な量の水分を摂って、薄い色のおしっこを出そう、というのがお伝えしたい大前提。加えて、あなたの普段の食生活・生活習慣はいかがですか。「図5」にあるような要注意食材を多く摂り過ぎてはいませんか。健康のためにと摂取しているサプリメントや、取り寄せの特別美味しい水なども、ものによっては尿路結石にはかえって悪く働くこともあるのです。
出てきた結石の成分を調べたり、生活習慣を見直したりすることで、有効な再発予防策を患者さんと共に考え見つけ出す…そこまでが結石の治療であると当科は考えます。
泌尿器科の特徴
泌尿器科というと「おしっこ」「性病」……。要はパンツの中だけを診る所と思われがちですが、実は、腎臓・尿路・生殖器・前立腺・副腎・そのほか後腹膜(こうふくまく)領域疾患をすべて担います。がんや尿路結石などの手術も多種多様に行い、近年発展の著しい内視鏡治療やロボット手術に関しても、泌尿器科は他科に先駆けて先進的な実績を残しています。当院では結石治療を積極的に行うために内視鏡手術設備を整えており、さらに国内企業によるものとしては初の最新手術ロボットを導入予定です。
更新:2022.03.23