リウマチ・膠原病科 リウマチ膠原病の最新治療 安全な提供をめざして

中部ろうさい病院

リウマチ・膠原病科

愛知県名古屋市港区港明

リウマチ膠原病の最新治療とは

リウマチの診療は新しい薬剤が次々に登場し、関節が壊れない時代へと大きく進歩しています。

また、そのほかの膠原病疾患(こうげんびょうしっかん)(若年性特発性関節炎、スティル病、SAPHO症候群、全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群、血管炎、脊椎関節炎(せきついかんせつえん)、乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)、全身性強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、ベーチェット病、サルコイドーシス、リウマチ性多発筋痛症、シェーグレン症候群など)においても、病態の解明が進んでいます。

新しい薬剤が登場している疾患や、今後、新しい薬剤の登場が待たれる疾患もあります。私たちリウマチ膠原病専門医は、「薬剤の使用に習熟し、副作用のチェックをきちんと行う」ことを、心がけています。

① 副腎皮質ステロイド剤

ステロイド剤は、いまだに多くの膠原病治療の中心的薬剤です。関節リウマチにおいても、治療開始後の短期間は併用されることがあります。使用する患者さん全員に生じるわけではありませんが、ステロイド剤の副作用として以下のものが知られています。

  • 開始当日〜 不眠、抑うつ、食欲亢進、精神症状
  • 数日後〜 血圧上昇、浮腫(ふしゅ)(むくみ)、尋常性痤(じんじょうせいざ)そう(にきび)、胃潰瘍(いかいよう)
  • 数週後〜 副腎機能不全(ふくじんきのうふぜん)、耐糖能異常、脂質異常症、易感染性(いかんせんせい)、中心性肥満、多毛症
  • 数か月後〜 紫斑(しはん)、ステロイド性筋症
  • 長期間 骨粗しょう症(こつそしょう)、白内障、緑内障

これらを念頭におきつつ、当科ではできるだけ速やかに、ステロイド剤を減量することを心がけています。使用開始前から副作用対策・評価も同時に行っています(糖尿病や脂質異常症のチェック、眼科受診や骨密度測定など)。

② 生物学的製剤・JAK阻害薬

これらの薬剤は専門医が使用する上では非常に有効ですが、習熟せずに使用すると患者さんに害を及ぼす結果になりかねません。

当科で薬剤を安全に使用するため、生物学的製剤の開始前・開始後に行っている副作用予防の取り組みは以下の通りです。

  • 肺炎球菌ワクチン投与(必要性に応じて)
  • 帯状疱疹(たいじょうほうしん)ワクチン投与(必要性に応じて)
  • インフルエンザワクチン投与
  • 定期的な結核のスクリーニング検査(T-SPOT、胸部レントゲン検査)
  • 肝炎の再活性化防止のためのスクリーニング検査(B型、C型)
  • 年齢相応の悪性腫瘍(あくせいしゅよう)の定期スクリーニング検査
  • 採血における白血球数、リンパ球数、肝機能、腎機能(じんきのう)、免疫グロブリン(IgG)、β-Dグルカン(真菌感染の指標)の定期的検査

自身が受けている治療に関して、副作用の点で心配なことがあれば、リウマチ膠原病専門医への受診をお勧めします。

リウマチ・膠原病科の特徴

リウマチ膠原病専門医が不在の病院も多いなかで、当科には7人のリウマチ膠原病専門医・指導医が在籍しています。薬剤・治療法が大きく進歩するため、世界の最新治療・最新知見を学ぶ目的で海外の学会へも参加しています。患者さんへ「最新の一番よい治療」を提供できるように努めています。

感染症や総合診療を専門とする医師も複数在籍しており、難しい病気の診断や、感染症などの治療に伴う合併症についても専門性をもって適切に治療をします。

更新:2022.03.23