実践のスペシャリストとして活躍 専門・認定看護師とは

大垣市民病院

看護部

岐阜県大垣市南頬町

専門看護師は、水準の高い看護を効率よく行うため技術と知識を深め、卓越した看護を実践できると認められた看護師です。「専門看護分野」ごとに、日本看護協会が認定しています。一方、認定看護師は、高度化し専門分化が進む医療の現場において、水準の高い看護を実践できると認められた看護師です。「認定看護分野」ごとに、日本看護協会が認定しています。

専門・認定看護師の取り組み

当院には、専門看護師1人、認定看護師26人(表1)が、実践のスペシャリストとして活躍しています。所属は外来や病棟、専従として配置しているため、勤務部署はさまざまですが、それぞれの専門分野の知識や技術を実践・指導・相談・教育などの場で活用し、看護の質の向上を目指しています。また、算定要件に該当する診療報酬項目にも積極的に取り組み、病院経営に参画しています。特に、チーム医療については、8つの医療チーム(表2)があり、多職種と連携して院内ラウンドができるように、活動時間の調整を図りながら取り組んでいます。

専門/認定 専門分野 人数
専門看護師 がん看護 1
認定看護師 緩和ケア 3
がん化学療法看護 1
がん放射線療法看護 1
がん性疼痛看護 1
皮膚・排泄ケア 3
感染管理 2
救急看護 3
小児救急看護 1
集中ケア 1
新生児集中ケア 1
認知症看護 2
脳卒中リハビリテーション看護 1
摂食・嚥下障害看護 1
慢性呼吸器疾患看護 2
糖尿病看護 1
慢性心不全看護 1
手術看護 1
表1 当院の各専門分野の専門・認定看護師数
医療チーム 認知症ケアチーム
褥瘡対策チーム
呼吸サポートチーム
緩和ケアチーム
感染対策チーム
栄養サポートチーム
排泄ケアチーム
周術期チーム
表2 当院の医療チーム

専門・認定看護師になるためには、看護師として5年以上の実践経験が必要ですが、当院では実践経験5年以上に加え、当院の教育レベルⅢを合格した職員を推薦しています。レベルⅢを合格した職員とは、臨床での出来事を分析的に捉え、後輩や学生への指導的な役割ができ、かつ、チームリーダーとなれる人材を示しています。実践経験の年数だけではなく、このような能力が備わっていることで、資格取得後に実践の場で専門性を発揮しやすくなるのではないかと考え、当院の推薦基準の1つとしています。資格取得後の活動の実際からは、指導や相談の働きかけ、勉強会の企画など自ら工夫しリーダーシップを発揮して、専門的な知識技術を提供することができています。

実践の場の1つとして、看護外来があります(写真1)。看護外来では、患者さんの退院後も医師と連携・協力し、患者さんや家族の方に継続したケアや相談・指導を提供しています。ストーマ外来は予約制、がん看護外来は随時対応しています。各外来では、糖尿病フットケア(写真2)、糖尿病療養指導、禁煙指導、心臓リハビリテーション看護、リンパ浮腫指導等を実施しています。このように特定の看護分野における熟練した看護技術や知識を実践の場で十分に発揮し、通院治療中の患者さんや家族の方に関わることで、看護の質向上に貢献しています。また、認定看護師教育課程の実習施設として3つの分野(表3)を受け入れ、認定看護師の育成にも取り組んでいます。

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写真1 看護外来
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写真2 フットケア外来
年度 分野 人数
2015年度 救急看護 1
2016年度 救急看護 2
2017年度 慢性呼吸器疾患看護 2
2018年度 慢性呼吸器疾患看護 2
認知症看護 3
2019年度 慢性呼吸器疾患看護 2
表3 当院の認定看護師教育課程実習受け入れ実績

専門・認定看護師への支援

専門・認定看護師への支援として、まず資格を取得するための受講料、交通費、研修中の給料など、病院が全面的なバックアップをしています。そのため、安心して資格取得に向けて、集中して学習することができます。次に資格取得後の支援としては、資格取得した年に給料の号給が一段上がります。また、専門・認定看護師枠として、一定額の研究費が毎年一人ひとりに配分され、この研究費を使って、計画的に学会や研究会などに参加することができます。さらに、5年ごとの資格更新時に必要なポイントも取得しやすくなっています。

2020年度からは、新たな認定看護師制度が開始となります。この制度についても、病院が全面的にバックアップしていきます。特定行為研修についても、積極的に受講を勧めています。2019年10月現在、「2019年度公益社団法人日本看護協会看護研修学校特定行為研修秋期入学コース」に、皮膚・排泄ケア認定看護師と認知症看護認定看護師の各1人ずつが受講中です。研修終了後は、それぞれの役割拡大を図っていきたいと考えており、認定看護師の増員と認定看護師の役割が十分に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。

専門・認定看護師への期待

専門・認定看護師の活躍の場は、院内での実践はもちろんのこと、院外では、看護学校や看護協会研修会の講師、施設での講演、学会や研究会のパネリスト、研究発表、執筆活動など、多岐にわたります。専門・認定看護師は、活躍の場が広がることで、経験を重ねその経験が自信となり、看護のやりがいに繋がっているのです。

今後も専門・認定看護師には、外から学んだ新しい知識や技術を院内に取り入れ、さらに専門性が発揮できることを期待しています。また、活躍の場が在宅へと広がるように、そして、周辺地域の看護職と連携して継続した看護が提供できるように、ともに考え、ともに働きかけていきたいと考えています。

更新:2024.10.21