リハビリテーション科の役割は何ですか?

滋賀県立総合病院

リハビリテーション科 整形外科 脳神経内科

滋賀県守山市守山

どんな役割があるの?

さまざまな病気や外傷で日常生活に障害を生じた患者さんが、自宅復帰や社会復帰ができるように、その人の状態や環境に応じて、機能回復の訓練やサービスの活用などを行っています。

院内の各科からリハビリテーション(以下リハビリ)の依頼がくると、患者さんの障害を評価して、各々のニーズに合うようにリハビリを実施します。退院後に自宅や施設で安心・安全な生活が送れるように、本人、家族へ生活動作の指導や住宅環境の改善の提案、地域スタッフとの連携を行います。さらに必要に応じて、退院後も外来でリハビリを継続します。

当科は滋賀県立総合病院のリハビリテーション機能だけでなく、県立リハビリテーションセンターの医療部門の機能も担っています。そのため県内の他機関との連携体制のもと、総合的に評価を行い、院外からも患者さんを受け入れています。

どんな疾患にリハビリをするの?

当科では、脳血管疾患リハビリ、運動器疾患リハビリ、心大血管疾患リハビリ、呼吸器リハビリ、がんのリハビリ、廃用症候群(はいようしょうこうぐん)のリハビリを行っています。

脳血管疾患(脳梗塞(のうこうそく)、脳出血、高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)、脊髄損傷(せきずいそんしょう)など)

麻痺(まひ)などに対して日常生活動作や歩行訓練(写真1)をします。必要に応じて、機能的電気刺激装置、体重の負担を減らす装置(写真2)、歩行アシストを活用して、効率的、効果的に訓練を進めます。また、機能回復の状態に合わせて、補装具、自助具を作成、使用して実用的な動作につなげていくようにします。

写真
写真1 平行棒で立ち上がり、歩く訓練、可能であれば階段昇降訓練をします
写真
写真2 免荷歩行装置。脚に体重がかかる負担を減らして歩行訓練ができます

認知機能障害、高次脳機能障害、言語障害についてはさまざまな機能の評価にもとづいて、記憶力、注意力、実行能力、コミュニケーションなどの機能向上を図る訓練や対処法の訓練を行います。

運動器疾患(骨折や変形性関節症の手術後など)

関節可動域訓練、筋力訓練、歩行訓練、日常生活動作訓練を行います。必要に応じて部分荷重歩行訓練、免荷歩行装置、補装具、自助具などを用いた訓練をします。

がんのリハビリ

がんやその治療により生じる運動機能や日常生活機能の低下を予防、改善することを目的とし、筋力訓練、呼吸訓練、日常生活動作訓練、歩行訓練などを行います。

心大血管疾患(心不全や心筋梗塞(しんきんこうそく)、心臓や血管の術後など)

心機能の低下に対して、心肺機能の評価による適切な運動療法を各々の症例に応じて行い、日常生活能力の維持・改善と疾患増悪(*1)の予防を図ります。

*1 増悪:もともと悪かった状態がもっと悪くなること

呼吸器疾患(肺炎、慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)、肺の術後など)

呼吸訓練や、さまざまな運動療法を組み合わせて行い、呼吸機能の向上と日常生活能力の維持・改善や疾患増悪の予防を図ります。

廃用症候群(病気やけがでの長期安静、寝たきり状態が続くことで起こる心身の機能低下)

心身機能の低下に対して、筋力訓練、日常生活動作訓練、歩行訓練などを行います。

どんな種類のリハビリがあるの?

リハビリの種類には、理学療法、作業療法、言語聴覚療法、心理療法があります。

理学療法
寝返りから、起き上がって、立つ、歩行などの動作の改善は、理学療法士が担います。歩行は平行棒や歩行器、可能であれば杖(つえ)歩行訓練、階段などの段差越えの訓練をします(写真1)。必要に応じて装具を用い、また体重の負担を減らす装置(写真2)を用いて歩行訓練をします。歩行が困難と考えられるときは、車椅子に乗り移る動作をなるべく自分でできるように訓練します。
作業療法
食事、整容、トイレ、着替え、入浴、家事、和式生活動作などの日常生活動作の改善は作業療法士が担います。バネ箸、太柄のスプーン、火ばさみ、靴べら、孫の手、リーチャー(*2)といった自助具、靴下を履く自助具などを用いて、自分で身の回りの動作ができるようにします。自分で動作ができないときは家族へ介護の指導をします。また、必要に応じて装具、上肢(じょうし)の負担を減らす装置も使用します。

*2 リーチャー:手の届かない所にあるものを掴みとったりするための補助具

言語聴覚療法
コミュニケーションの障害、注意力や記憶力の低下などの高次脳機能障害、食べることの障害などの改善を目的とした練習や指導は、言語聴覚士が担います。
心理療法
心理的側面、高次脳機能など、心理的適応の問題への対応は、臨床心理士が担います。患者さんから話を詳しく聞いて、他の職種と連携して、入院中や退院後の不安を解消するようにします。

以上のような多様な療法を組み合わせ、患者さんが自宅復帰や社会復帰するという目標に向かって取り組んでいます。

当科の特徴は、若年で社会復帰が見込める脳血管疾患、高次脳機能障害、脊髄疾患、難病の方など、当科でしか診られない患者さんを急性期病棟で、短期入院で受け入れていることです。

更新:2023.08.27