緩和ケアと地域連携
済生会吹田病院
緩和ケア内科
大阪府吹田市川園町
切れ目のない緩和ケアの提供をめざして
当院は、地域の診療所や訪問看護ステーションなどの医療スタッフとのつながりを大切にしてきました。そして今、地域の医療機関からのいち早い情報や細かな配慮により、専門的な診断・治療を行う地域の拠点病院としての役割を果たしています。緩和ケアにおいても、当院だけで行うのではなく、地域のさまざまな機関と連携して患者さんや家族を支えていけるよう、切れ目のないサービスの提供を目標にしています。
大阪府には、がん診療連携協議会というがん対策に取り組む会があり、その1つに緩和ケア部会があります。ここでは、緩和ケアの質の維持向上を目標に、大阪府全体の医療関係者が一堂に会して情報共有を行っています。具体的には、医療者を対象とした勉強会や研修会を行い、よりレベルの高い緩和ケアの知識と技術を維持・拡大していくことに努めています。また、厚生労働省などからの発令による組織内対応が必要になった場合の情報交換も行っています。最近では緩和ケア地域連携パスの作成と試験運用に取り組んでいます。緩和ケア地域連携パスは、例えば在宅療養されている患者さんがホスピスなどに入院となったとき、在宅療養の中で医療者が捉えた病状や生活の状況、患者さんの思いなどを入院先の病院と情報共有し、入院してからも引き続きケアに生かせるようにするものです。このような活動によって、切れ目のない緩和ケアを提供していきたいと考えています。
また、大阪府緩和ケア部会の下部組織として、豊能医療圏がん医療ネットワーク協議会の緩和ケア部会があり、ここでは、豊能地区に密着した形での緩和ケアを進めていこうと年2回の総会のほか、普段でもメーリングリストを利用して、組織の活性化や診療に関する情報交換などについての議論を活発に交わしています。
吹田在宅ケアネットとは
そのほかに吹田在宅ケアネットという組織があります。吹田市内の医療者と患者会がメンバーとなって結成されており、10年余りの歴史があります。
がん対策基本法では、患者さん自身の声を診療の中に生かしていくことが奨励されてきていますが、そのような法律の条文作成以前から、吹田在宅ケアネットは運営されてきました。2017年9月に当院で開催した総会では、患者会(患者さんや家族)、薬剤師、ケアマネージャー、訪問看護師、病院や訪問クリニックの医師などが、活動内容の発表や、架空の症例検討によるグループワークを行い、実践的な対応やそれぞれの立場からみた問題点についての話し合いをしました。吹田在宅ケアネットは今後、がんだけでなく、さまざまな疾患の患者さんの緩和ケアを通して、施設と在宅でのつながりを強化していくことを目標にしています。
以上のように、当院では、緩和ケアにおいても、さまざまな試みにより、組織を越えた密な連携を目標にした活動を行っています。
更新:2024.10.18