診療を確かに支える臨床検査

済生会吹田病院

臨床検査科

大阪府吹田市川園町

チーム医療の重要さ

現代はチーム医療の時代です。チーム医療とは、”患者さんに対し、いろいろな分野の複数のスタッフが、それぞれの専門性を生かし、連携して治療やケアを行うこと”です。スタッフは医師や看護師、薬剤師、検査・放射線技師などの医療職からなりますが、チーム医療の担い手は医療専門職だけではありません。事務職員やボランティアなどすべての病院職員が、共に患者さんのために務めるチーム医療の重要な一員です。

当院におけるチーム医療と臨床検査科の役割

当院では、さまざまな職種のスタッフが、それぞれの知識と技術を生かし、患者さんの病状の改善のためにチーム医療を行っています。

チーム医療がより良く行われるには、患者さんの情報を正しく共有する必要があります。そうでないと、スタッフ間のコミュニケーションがうまくいかず、最善の診療が行われないのです。最も重要な情報源の1つは、検査結果といえるでしょう。何故なら、臨床検査の結果は、科学的に検証されており、日本国内だけでなく世界で共有できるものが多く、客観的で共通だからです。

当院におけるチーム医療の取り組み例と、臨床検査科の役割を紹介します。

ICT(Infection Control Team)

病院の中の感染対策チームです。感染のもとになる微生物には、細菌やウイルスがあります。微生物検査グループでは、細菌の培養を行って、原因となる菌を調べ、主治医に報告します。このとき、どのような抗生物質が有効かもあわせて報告します。最近の医療では、抗生物質が使用される機会が多くなり、耐性菌(抗生物質が効かない菌)が増えて、このことが患者さんの治療を難しくしています。抗生物質が効きにくい菌が増えていないかを調べるのも微生物検査グループの仕事です。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)など、特に注意が必要な耐性菌については、ICTへ陽性者を報告し、チームが主治医へ治療方針の提案をするとともに、病院全般の感染状況を把握し、感染防止の対策を立てて実行するためのサポートを行います。

NST(Nutrition Support Team)

入院患者さんの栄養のサポートを行うチームです。血清アルブミンというタンパク質が3.0g/dl以下を栄養状態がよくない患者さんと判断します。入院患者さんの栄養の検査データを管理し、チームに提供します。どの患者さんにサポートが必要かを確認し、医師や管理栄養士、看護師とともに、どのような形での栄養サポートがよいかを相談して実施します。そして、改善点があるかどうか継続的に確認していくため、データを管理し提供するのも臨床検査科の役割です。

まとめ

現代医療の基本形であるチーム医療において、患者さんの診療を相談するための要となる検査データを、臨床検査科は提供しています。患者さんと家族は、病院スタッフ同様、重要な役割を務める、チーム医療を担う一員です。本人や家族の検査結果について、出来るだけご理解いただき、主治医や担当看護師と十分相談し、納得がいく診療を受けていただくことが大切です。

臨床検査の世界は、日進月歩の進化を遂げています。当院臨床検査科のメンバーは、勉強をおこたらず、知識・技術の向上に努力しています。そして、診療現場とつながった検査室として、検査結果を正確に迅速に報告し、患者さんの病状と生活の質の改善に貢献できるよう努めていきます。

更新:2024.10.21