2型糖尿病:2型糖尿病治療の意義と最新治療

札幌孝仁会記念病院

糖尿病内科

北海道札幌市西区宮の沢

糖尿病治療の目的とは?

糖尿病とは、血管の中の糖の濃度が異常に高くなり続けることで、全身の血管が痛んでくる慢性疾患です。治療を行わないと手足のしびれや痛み、温度がわからなくなる神経障害、失明の危険のある網膜症(もうまくしょう)、最終的には人工透析(じんこうとうせき)が必要になる腎症(じんしょう)の進行につながるなど、生活の質が低下します。また、狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)、脳梗塞(のうこうそく)、足が腐るといった直接命の危険につながるような病気の発症にも関与します。

糖尿病治療の目的は血糖を下げることではなく、上記のような合併症を発症することなく健康な人と変わらない人生を送ることです。合併症は血糖値のみをコントロールしても、進行を抑えることはできません。血糖値をコントロールすることは必須ではありますが、肥満や高血圧なども併せて治療することが重要で、さまざまな面に気を配らなければなりません。

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図 糖尿病治療の目標

糖尿病の薬物治療

糖尿病治療の3本柱は食事、運動、薬物です。前者2つが最も大事な治療ですが、薬物療法を行わなければならない場合が多いのが実際です。薬物療法は注射と飲み薬があり、患者さん一人ひとり、最適な薬剤が異なります。

糖尿病の治療法の1つに、患者さんの不足しているインスリンを体外から補給して血糖値を下げる「インスリン注射」があります。よくある勘違いですが、インスリン注射は「糖尿病の末期」だから行うのではありません。必要な時期に行い、血糖値が良くなれば飲み薬やインスリンではない注射薬にすることも場合により可能です。近年、心臓や腎臓など全身に好影響を及ぼすと考えられる注射や飲み薬が開発されています。1週間に1度の飲み薬や注射薬なども開発され、今後さらに発展していくものと思います。

血糖測定の分野では、従来の指で測定するものから、14日間腕につけっぱなしの血糖測定器など、日々進化を遂げています。選択肢が多く、患者さん自身がすべてを把握することは難しいので、興味があれば主治医に質問してください。

更新:2025.02.06