あなたの手足のしびれや痛みは脊髄由来?

釧路孝仁会記念病院

脳神経外科

北海道釧路市愛国

脳神経外科で対応する脊椎脊髄疾患とは

脳疾患では説明できない「手足のしびれや痛み、頸(くび)・肩・背中・腰の痛み」は、脊椎(せきつい)・椎間板(ついかんばん)・靭帯(じんたい)の変性や、脊髄(せきずい)そのものに由来することがあります。

脳神経外科専門医だからこそ、脳疾患を否定し、脊椎脊髄の病変を特定することができます。当院では、脳神経外科の専門知識と経験を生かし、脊椎脊髄の手術治療にも対応しています。開院以来、年間200件程度の手術を継続して行っています。

脊椎脊髄疾患による主な症状

脳疾患では一側(片側)の手足の力の入りにくさ・しびれが出るのが通常ですが、脊椎脊髄疾患の場合は片側の上肢(じょうし)(※1)のみ、両上肢のみ、片側の下肢(かし)(※2)のみ、両下肢のみ、あるいは四肢(しし)(※3)とさまざまです。

また、上肢と一言で言っても、複数の神経が運動・感覚を支配しており、手のどこに痛みやしびれがあるのかを詳しく聴取し、神経学的検査を行う必要があります。さらに、CT・MRI検査などを行って撮影した画像上の問題点が症状・所見と一致するかを詳しく見比べることが重要です。くび・肩・背中・腰の痛みは神経支配で説明困難なことも多く、痛みが起こる状況・姿勢なども考慮し、原因を特定するようにしています。

※1 上肢:上腕・前腕・手
※2 下肢:大腿・膝・下腿・足
※3 四肢:両手・両足

検査

人間は二足歩行であり、立位での評価が欠かせません。立位でのX線検査では、骨の変形や不安定性、椎間板の変性を評価します。CT検査では骨の構造、靭帯・椎間板の骨化がないかを確認し、MRI検査では骨・脊髄・椎間板の異常信号がないか、脊髄・神経根の圧迫がないかを確認します。

図
図1 頸椎の疾患

昔は腰から針を刺して、造影剤を注入し、脊髄造影を行っていましたが、現在はほとんどの患者さんに対して行っていません。X線・CT・MRIを総合的に見合わせることで、問題点は解明できると考えています。

腰椎病変では、画像上に複数の病変があったり、原因がどこにあるか特定できない場合に限り、神経根ブロック(神経根周囲に針を刺して麻酔を打つことで痛みが消えるかどうか)を行うことがあります。

図
図2 腰椎の疾患

顕微鏡下手術

手術はより体に負担の少ない方法で行えるよう検討しています。脊椎の形を整えることではなく、症状の原因を取り除き、脊髄症状・痛みをとることを目的としています。

脳の手術と同じように顕微鏡下で行うことで、より小さな皮膚切開で、より安全に手術を行うことができると考えています。また、ほぼすべての手術を神経モニタリング下に行っています。手術中に脊髄・神経に負担がかかれば神経モニタリングに異常な反応が出るため、より脊髄・神経に対する負担を最小限に抑えながら手術することができます。

大事なこと

脊髄脊椎疾患はほとんどが命にかかわらない病気ですが、運動障害・感覚障害あるいは痛みのために日常生活に支障をきたします。手術は正常な構造を破壊することでもありますが、適切な治療時期を逃すと、症状が残存する可能性が高くなります。上肢運動障害、歩行障害、手足の痛みやしびれ、頸部痛(けいぶつう)・肩痛・背部痛・腰痛でお困りの患者さんは、ぜひ脳神経外科に相談してください。

更新:2025.02.06