骨粗しょう症・圧迫骨折:身近で意外と怖い圧迫骨折
札幌孝仁会記念病院
脊椎脊髄外科
北海道札幌市西区宮の沢
身近な病気、骨粗しょう症
骨粗(こつそ)しょう症(しょう)は年齢とともに骨がもろくなる「骨の老化現象」ですが、骨折の危険性が増える「病気」です。予防は、骨を作る材料となるカルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDをバランスよく摂取することと、骨を形成するために運動することが大切です。
日光に当たることでビタミンDが体の中で作られるので、外の散歩は一石二鳥です。特に女性においては閉経後に急速に骨がもろくなりやすいので、早めに骨密度の検査をすることをお勧めします。骨折の危険が高い場合には、飲み薬や注射での治療を始めます。

意外と怖い圧迫骨折
圧迫骨折は背骨が押しつぶされて起こる病気です。尻餅のような転倒によることもありますが、骨がもろい場合はくしゃみなどの軽い刺激でも起こります。1か所骨折するとまた違う場所が骨折することが多く、次々と骨折してしまうことがあります。最初の骨折を予防することが重要です。
背骨が変形し背中が丸くなってしまうと、歩きにくいだけではなく、息がしにくい、ムカムカする、食欲がない、便秘がちといった症状が伴って生活の質が低下します。
治療は痛み止めを飲みながら、コルセットなどの体を支える装具をつけて、できる範囲内で動いて日々の生活を送ります。4〜6週間しても痛みが強く日常生活も困難な場合、折れた背骨にセメントを注入する手術(経皮的椎体形成術(けいひてきついたいけいせいじゅつ):全身麻酔、手術時間約30分)をお勧めします。目が覚めるころにはセメントは固くなっているので骨折による痛みは嘘のように消えます。
圧迫骨折は高齢者に多く、痛みが強くてほぼ寝たきり状態になり、それが長引くと足腰の筋力がどんどん弱って動けなくなります。そうなる前に早めに手術を行うことで筋力の低下を防ぎ、できるだけ早く以前の生活に戻れるようにリハビリテーションをすることもあります。
更新:2024.07.29