患者さんの治療を助ける栄養管理

福井大学医学部附属病院

栄養部

福井県吉田郡永平寺町

栄養管理の必要性

当部には管理栄養士が10人おり、各病棟に担当管理栄養士を割り当てて、すべての入院患者さんに対し、栄養状態の判定、必要栄養量の算出、摂取栄養量の評価を行い、必要に応じてInBodyを使った身体計測、食事形態の検討、栄養相談などの栄養管理を、医師、看護師、薬剤師などと相談しながら行っています。食物アレルギーや治療により食べられない食品のある患者さんには、直接話を伺って個別対応をしています。

近年、がん治療中の患者さんが増加しています。がんの治療には大きく分けて、外科手術、化学療法、放射線治療があり、単独もしくは組み合わせによる治療が行われています。がんの種類、手術の方法、使う薬や放射線を当てる場所により、体への影響は異なってきますが、どの治療も体への負担があります。

低栄養状態で手術を行うと、傷の治りが遅くなる、感染症を起こしやすくなるなど、術後の合併症を招きやすくなるので、手術前からの栄養管理が大切です。

化学療法や放射線治療を行う前から栄養状態を良くしておかないと、治療開始後に副作用に伴う体へのダメージが大きくなり、治療が継続できなくなる危険もあります。

治療をスムーズに行うためには、治療に負けない体づくりのための栄養管理が必要です。

できるだけバランスよく食べていただきたいのですが、治療の関係で味覚異常になったり、1回量が十分に食べられなくなった患者さんには食事内容を変更し、食事だけでは必要な栄養量が補えない患者さんには、栄養補助となるゼリーや飲料の必要性や特徴を説明しながら、嗜好にあった種類をお勧めしています。

また、食欲がわかない、口内炎が痛くて食べられない、つかえ感があって嚥下(えんげ)(取り込んだ水分や食べ物を咽頭と食道を経て胃へ送り込む〈飲み込む〉こと)がうまくできない、体重が増えないなど食事でお困りの患者さんには栄養相談が必要です。これは入院だけでなく、外来でも必要なことであり、医師や看護師、患者さんや家族からの依頼に応じて行っています。

安全安心な食事の提供を目指した病院食

加熱調理した料理を専用の機械を使って急速冷却することで、細菌が増殖しやすい10~60℃の温度帯を短時間で通過させ、細菌繁殖の少ないチルド温度帯で保管。必要時に盛り付け・再加熱するニュークックチル方式を採用しています。

再加熱には、過熱蒸気式再加熱カートを用いています。短時間での加熱処理が可能で加熱面全体を均一に加熱できる利点があります。ただし、通常の食器では耐久性に乏しいため、越前漆器の特殊技術を生かした食器を採用しています。

ニュークックチル方式の採用で、加温後2時間以内に食べてもらえるようになり、衛生面でも安全安心な食事を提供できるようになりました(写真)。

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写真 病院食の一例

更新:2023.09.11